4人組ガールズグループの「」が5月5日に結成10周年を迎え、同日、記念シングル『Tokyo Girls Journey (EP)』をリリースします。
は、デビュー当時から、数あるガールズグループの中でも、楽曲の質の高さやパフォーマンス力で定評のあるグループ。彼女たちのこれまでの歩みや、今後へのさらなるブレイクへの期待を記します。
■結成3年目で武道館単独公演を実現 当時の最年少記録を樹立
東京女子流は2010年に結成されました。当時のメンバーは5人。その後、メンバー一人が卒業し、現在はさん、さん、さん、さんの4人組で活動中です。
結成当初はメンバーの年齢が公表されなかったり、ちょっとミステリアスなムードを感じさせる登場の仕方でした。そして同年5月5日にシングル『キラリ☆』でメジャーデビュー。同曲は、多くの人気アーティストを手がけるクリエイター・松井寛さんが編曲を担当していますが、以降も、2016年頃までの東京女子流の楽曲のほとんどは松井氏が編曲を担当、作曲を担当した曲も多数あります。
メンバーたちの幼い雰囲気とはウラハラな楽曲のクオリティと、しっかり鍛えられたダンスパフォーマンスにより、アイドルファンの間で高い評価を得ていました。
今や“世界最大級のアイドル・フェス”に成長したTOKYO IDOL FESTIVALにも第1回から出演しています。結成3年目の2012年にはなんと、当時史上最年少で日本武道館単独公演を実現。翌2013年にも2年連続で武道館公演を成功させました。その後もコンスタントに楽曲をリリース。経験を重ねるごとにさらにパフォーマンスが研ぎ澄まされ、人気も高まっていきます。
2015年からは、女子流はアイドル系のイベントやアイドル雑誌などへの露出を控えるようになります。
ルックス、実力とも兼ね備えたガールズグループやアーティストにとって誰もが当たる壁で、そのルックスの可愛さからアイドルファンなど限られた層に支持されている状態から、さらに人気の規模を広げるにはどこかで乗り越えなければならない壁。その壁を超えるべく、新たな環境にも積極的に進出していきますが、結果としてCDの売上やランキングではそれまでと比べ、徐々にふるわなくなっていきます。
その時代にリリースされた楽曲には、特にクオリティが高く、現在でもライブの定番になっている曲も目立つのですが……。
そして2017年の夏からは、再びアイドルイベントやメディアにも顔を出すようになっています。が、この約3年間の挑戦は意義があるものだったとメンバーたちは語ります。
その間に男性アーティストやバンドなどカラーが違うアーティストと対バンをしたりなどもメンバーにとっていい経験になったといいます。
中江友梨さんは過去のインタビューで「アイドルさんと一緒だとやらないようなライブ構成も、バンドさんではあったりして、そういうところは、『今自分たちのライブにもこれ入れたら面白いんじゃない?』と参考にしてたので、この3年間は大切だったなと、やっぱり考えるようになりましたね」(Girls News、2019年)と語ってくれました。
その後も、東京女子流はシングルをリリースするたびに、楽曲的にもパフォーマンス的にもビジュアル的にも、実験的なものを繰り出し、“同じことはやらない”を合言葉に、攻めの姿勢での活動は続きます。
そして一昨年にはメンバー全員が20代になり、さらに大人っぽい世界観を表現。ライブのセットリストなどはその前からメンバー独自で考える機会も増えたようですが、最近では、山邊さんが衣装のプロデュースを手掛けたり、最新曲『薔薇の緊縛』では庄司さんが振付を担当するなど、よりメンバーのセルフプロデュース色が濃くなってきています。
■魅力が凝縮したライブパフォーマンスに注目 そしてエバーグリーンな楽曲たち
東京女子流の魅力をじっくり堪能できるのは、本人たちも語っていますが、なんといってもライブ。前述のように、鍛え抜かれたダンスパフォーマンスは観る人の目を釘付けにします。
毎月レギュラー開催している「新*定期ライブ」では、毎回メンバーが企画を考案し、本格的なパフォーマンスから、バラエティ的なお楽しみ企画まで、観客を楽しませる企画を繰り出します。
また、その歌唱力も特筆モノ。今年行われたマイナビBLITZ赤坂公演など節目のライブでは、アコースティックコーナーを設けていますが、ここでもギターやピアノ一本の伴奏に乗せ、見事な歌唱力を披露します。
その歌唱力を実感できるのは、やはり前述のように楽曲の良さも忘れてはならない要素です。現在のライブでも、10年近く前のデビュー当初の曲を歌うケースも多いですが、全く古さを感じさせない、メンバーたちが歌う年齢に応じて輝きを発しています。
■10周年記念シングルを前に“自粛期間”が… メンバー独自でも盛り上げる
そんな東京女子流は今年5月5日で結成10周年。
その当日に記念のシングル『Tokyo Girls Journey (EP)』をリリースします。収録曲は、昨秋初披露されファンから高い支持を得た、春ねむりさん作詞作曲の『Ever After』、前述の赤坂BLITZ公演で初披露された『薔薇の緊縛』、同曲の歌詞を変えたアレンジ違いの『薔薇の緊縛 introduction』、そして、庄司芽生さんが「みんなにパワーをたくさん届けられる曲」と伝えた未発表新曲『キミニヲクル』の計4曲が収録されています。『Ever After』も『薔薇の緊縛』も、2020年現在の最新型の女子流のパフォーマンスを見せています。
本来であれば、この4月は、リリースイベントをはじめ、メディアの取材などキャンペーン活動に多忙なはずですが、今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、軒並み自粛しなければならない事態に。記念すべき10周年記念シングルもほとんどキャンペーンができない状態になっています。
ですが、この活動自粛期間中にも、より幅広い層に女子流の音楽に親しんでもらうべく、2回の武道館公演をはじめ過去のライブ映像を期間限定でフル無料公開したり、メンバーたちがファンとの絆をつなげるべく、積極的に動画配信を行なったり、制限された状況の中でも可能な限りで10周年に向けての活動を行っています。
また、未発表の新曲『キミニヲクル』のサビのみ、庄司さんによるオリジナル振り付けで動画を公開、未来へ向けてのメンバーたちの前向きな気持ちが伝わるということで評判になりました。
このコロナ感染騒動は4月末現在まだまだ先行きが不透明な状態です。
彼女たちの魅力はなんといってもライブと書きましたが、特に“3密”の温床といわれるライブやイベントは、すぐに再開するのは困難なのかもしれません。
現代のアイドルやガールズグループにとって、CDの販促やプロモーションにあたりイベントは欠かせないものとなっています。ですが、もしもイベントやライブをできない期間が長くなったとしても、彼女たちのパフォーマンスは、メデイア(ネットも含め)を通しても観る人を惹きつける魅力は強いと思います。
そして“その後の時代”では、彼女たちの真骨頂であるライブパフォーマンスを、溜め込んだパワーを爆発させて見せてもらいたいものです。
さらに彼女たちは“アイドル”と謳って活動しているわけではないので、将来メンバーの誰かが結婚したり出産しても、活動休止期間を挟みつつ、海外のガールズグループのように、30代、40代になってもそのパフォーマンスで魅了するグループになることにも期待したいです。
文/田中裕幸