昨年、民間企業として初めて有人宇宙船打ち上げに成功した米SpaceXはまたも新たな「記録」に挑戦する。
同社は2021年代4四半期に完全民間の有人宇宙飛行を実施すると発表した。もちろん世界初の試みで、成功すればプロの宇宙飛行士でなくても宇宙を旅行できる時代の幕開けとなる。
オール民間打ち上げ「Inspiration4」という名称のミッションは、民間企業であるSpaceXが民間人を宇宙に連れて行くという、世界初の「オール民間打ち上げ」だ。つまりそこには政府などの機関の目的はなく、純粋に民間のオペレーションだ。
この記念すべきフライトには民間人4人が乗り込む。そのリーダーを務めるのが米国の起業家Jared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏だ。民間人といってもアイザックマン氏はパイロットでもある。
地球周回の軌道に滞在ミッションの目的は小児がん治療に注力しているテネシー州のセントジュード小児研究病院の支援で、残りの3座席は、同病院のアンバサダー、同病院への寄付者、そしてアイザックマン氏が運営するeコマースプラットフォームShift4 Paymentsの利用者から選ばれる。
4人はSpaceXによる宇宙飛行士の訓練を受け、順調にいけば年内にNASAのケネディ宇宙センターから打ち上げられる。4人が乗り込む機材は同社のCrew Dragonで、ロケットFalcon 9で打ち上げる。
4人がどれくらいの期間宇宙に滞在するかはまだ決まっていないが、90分で地球を1周する軌道に数日は滞在する予定。帰還時、カプセルはフロリダ沖の海上に着水し、SpaceXが回収する。
アイザックマン氏は発表文の中で「Inspiration4は長年の夢の実現であり、誰でも宇宙を探検できる未来へと1歩近づいた」とコメント。成功すれば宇宙旅行時代の新たなページを開くことになる。
SpaceX