ペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池と異なり大量生産できるとして注目を集めている。さらには薄型軽量で、曲げることもできて設置場所を選ばない特性もある。
ただし、これまでのペロブスカイト太陽電池は、環境負荷をかけるリスクをはらんでいた。こうしたなかマンチェスター大学の研究者らは、ペロブスカイト太陽電池のサステナビリティを高める技術を開発した。
有毒イオンを補足するフェイルセーフシステムペロブスカイト太陽電池には鉛が含まれており、ヒョウなどでセルが損傷すると周囲に有毒な鉛イオンが漏れ出る可能性がある。そこで研究者らは、セルが損傷しても鉛が放出しない方法を考案した。
研究者らは、骨の主成分であるヒドロキシアパタイトと呼ばれる不活性ミネラルを使用したフェイルセーフシステムを開発。セルが損傷したときには、有毒イオンは不活性ミネラルに補足される。
安全性と同時にエネルギー変換効率も高める安全性が高まっただけでなく、ヒドロキシアパタイトを添加することで、ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率が高まったという。
同様の条件下において、ヒドロキシアパタイトを添加していない太陽電池のエネルギー変換効率は約18%だったのに対し、添加後にはこれが約21%に向上した。
環境負荷をかけず、エネルギーを効率よく生成できるペロブスカイト太陽電池は、太陽光発電の普及に貢献してくれそうだ。
参照元:Research helps solar technology become more affordable/ The University of Manchester