デロイト トーマツ グループは、「2021年 デロイト グローバル自動車消費者調査」を発表した。これは、23カ国2万4000人以上の消費者を対象に、2020年9月から10月にかけて「自動車産業に影響を与える様々な課題」に関して調査した結果を元にしている。COVID-19に起因する経済的な懸念が消費者意識に与える影響も含めて、先進技術や、デジタル自動車小売プラットフォームなどの側面から結果を分析しているという。
ガソリン車への需要が急増私たちが生きる世界は今、毎日のように情勢が目まぐるしく変化している。同社の調査によると、このような状況下で消費者はガソリンおよびディーゼル車(ICE=内燃機関)を購入する傾向が急上昇しているという。アメリカの消費者のうち、電気自動車などの非ICE車を次に購入しようと検討している消費者の割合は、わずか4分の1(26%)に過ぎず、前年比で15%と大きく減少している。また、日本では依然ハイブリッド車、電気自動車などを購入しようとしている消費者が過半を占めているものの、昨年までの傾向から8%減少して55%となっている。
先進技術は「安全性」を重視一方で、先進的な技術に対する消費者の意向はどうだろうか。中国の消費者の83%はコネクテッドカーが有益であると考えているのに対し、米国はその半分(44%)に過ぎない。コネクテッドカーのインターネットへの接続により、消費者は共通してハッキングの危険性を懸念しているようで、日本でも54%の消費者が安全性について懸念を抱いているという調査結果だった。
また、次に購入する自動車に求める機能では、各国ともに「緊急自動ブレーキ」「死角アラート」といった安全性に関わるものが重視されているようだ。一方で、先進技術の搭載にかかる追加コストへの支払い意欲は限定的だ。日本の場合、消費者の78%がコネクテッドサービスに5万円以上を払いたくない、と考えているという。
デロイト トーマツ コンサルティングの自動車セクターパートナーである田中義崇氏は「従来日系自動車メーカーは、品質を重視する日本の消費者からの高い要望に応えることで技術を磨いてきましたが、このまま日本国内をパイロット拠点としていると、次世代技術・サービスの導入においてグローバル競争に劣後する可能性を懸念します。」と述べた。引き続き、同社のグローバル自動車消費者調査を注視していきたい。
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