全国の3D都市モデルをサイバー空間に作ってしまおうというSFじみたプロジェクトが、国土交通省の手で進められている。Techableの過去記事(2020年12月23日)でも取り上げた「Project“PLATEAU(プラトー)”」だ。
完成した都市モデルを何に使うのか、どれだけの利用価値があるか、それは今のところはっきりしない。だが、試験的ではあるが実用例が続々登場している。中でもめぼしいものをご紹介しよう。
「Project“PLATEAU”」の3D都市モデルとは同プロジェクトでは、東京23区ほか、現在国内6都市の3Dモデルがオープンデータとして公開されている。どれもブラウザで見ることができる。
3D都市モデルとは、2次元の地図と、航空測量等によって得られる建物の高さを組み合わせて作成した立体図だ。様々な角度から都市を俯瞰でき、自由に歩き回ることもできる。建物や特定の場所にポインタを合わせると、名称や用途、建設年、人口流動や環境・エネルギーなどに関するデータなどが表示される。
現在も新たな都市の3Dモデル化が進められており、3月末までに全国56都市が追加公開となる予定。
様々な活用事例「Project“PLATEAU”」の役割は、3D都市モデルの制作・公開まで。どう活用するかは利用者次第だ。今のところ、地方自治体やエリアマネジメント団体、民間企業などがこんなふうに使っている。
〈洪水浸水が直感的に分かるハザードマップ作成〉東京23区の3Dモデルから、洪水浸水時の状態を予測したマップを、アジア航測(株)、(株)建設技術研究所、日本工営(株)が共同で制作中。
〈都市の浸水シミュレーション〉(株)三菱総合研究所は、鳥取市市街地の3Dモデルに洪水のシミュレーションデータを重ね合わせ、被害状況を時系列で可視化することに取り組んでいる。浸水の広がりにあわせて道路などが徐々に使えなくなっていく様子がわかるため、避難経路の選定などに役立つ。
〈スマートシティに欠かせない街頭センサー設置場所の検討〉東京の大手町・丸の内・有楽町エリア(いわゆる大丸有)では、(株)三菱総合研究所と、一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会が共同で街のスマート化を推めている。これに必要な街頭カメラや各種センサーの取り付け場所を決める際に、立体的な視点で現場を把握できる3D都市モデルが利用されている。
この他、東京都駅周辺での物流ドローンのフライトシミュレーション(A.L.I. Technologies)や、愛媛県・松山市駅と東京・豊洲駅周辺の人流をリアルタイムに可視化する試み(日立製作所、日立情報通信エンジニアリング)にも「Project“PLATEAU”」のバーチャル都市モデルが役立っている。全ての活用事例はサイトで公開中。
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