データサイエンスビジネスを展開する株式会社DATAFLUCT(データフラクト)は、衛星画像を基盤とした水田域のモニタリングプロジェクトを展開し、約80%の精度で水田域の判定に成功したと発表した。同社によると、プロジェクト発足からわずか約3ヶ月でフェーズ1を終えることに成功したという。
光学センサを活用「メタン」は温室効果ガスのうち、二酸化炭素に次いで重要とされる物質であり、その吸収・排出量を正確に把握することが求められている。同社によると「酸素のない状態で有機物が分解されることでメタンは発生するが、水田に水がある状態ではこの条件が揃い、メタンの発生が促進されます」という。国立環境研究所は、地球温暖化問題への取り組みの一環として、水田を効率的にコントロールしメタン排出を減らすための研究を進めている。
今回のプロジェクトは、DATAFLUCTが国立環境研究所の依頼を受けて開発を進める新たな取組みだ。マイクロ波の跳ね返りを基にすることで天候や時間帯に左右されない「SAR画像」と、光学センサで太陽光を観測し、地上からの反射・放射される強度の違いで物体を識別する「光学画像」を組み合わせる。これに、AIによる機械学習を活用することで、水田のモニタリングを行うというわけだ。東南および東アジア地域の水田域を抽出することを目的とし、対象地域は日本・インド・ベトナム・インドネシア・タイ・フィリピンとする。
気象条件に左右されない分析を実現DATAFLUCTの担当者は「日本を含むモンスーンアジア地域は世界的に見ても雨が多い地域であり、中でも東南アジアはその特徴が顕著です。太陽光の反射によって物体を識別する『光学センサ』では、雲などの障害物がある場合や、太陽光のない夜の時間帯には物体を検知できません。そこで、本プロジェクトでは『マイクロ波センサ』による画像(SAR画像)も併用し、気象条件に左右されない、より高精度な分析を実現しました」という。つまり、2種類の衛星画像を併用することで、「高精度の判別」「複数地域に応用できるモデル」を実現したのだ。
JAXA認定ベンチャーとして、これまで多彩なデータを組み合わせて既存の解釈にとらわれないデータ分析サービスの開発に取り組んできたDATAFLUCT。今後も、農林水産業から建設、物流、飲食など幅広い領域で、データ活用を推進していく同社の動向に注目していきたい。
PR TIMES (文・Takeuchi)