株式会社スマートルアーは、海中でのルアーの動きや水中環境をデータ化し、ユーザーのアプリに表示するIoTルアー「smartLure Model Zero」を開発。2021年4月26日正午(日本時間)よりKickstarterでの予約販売を日米同時に開始します。
センサーで海の中を知ろう「smartLure Model Zero」は、通常のルアーと同じように泳がせるだけで、魚がルアーを認識し食いつくまでのルアーの動きや水深トレース、水中の温度や明るさといった水中環境を高精細にデータ化するセンサーモジュールを搭載。センサーから取得したデータは、ユーザーの任意のタイミングでアプリに転送され、位置情報や日時情報、気象条件、潮汐などと共に表示されます。また、電源ボタンを1度押すだけで1日中センシングを続けることも可能だといいます。
長年多くの人が楽しんできた釣りですが、水中の魚の様子を地上から知ることは難しく、竿や糸を通じて得られる感覚を頼りにすることがほとんどでした。同製品は、そういった釣りの曖昧な部分を可視化し、魚の生態理解や釣果向上に貢献してくれそうです。
釣果向上と環境保全同社は、代表の岡村氏が冬の札幌で「4か月間、1匹も魚が釣れない」という釣り体験をしたことをきっかけに2017年3月に設立されたスタートアップ。ウェブメディア「スマルア技研」の運営とIoTルアーの開発に取り組み、2018年には「スマートルアーα」を完成させ実証実験を重ねてきました。そして2021年1月に商品試作レベルのセンサーモジュール30機が完成。3月からのフィールドテストで安定したデータ取得やアプリへの表示などを確認したようです。
これまでの開発で、センサーモジュール量産の目処がついたと判断し、Kickstarterでの日米同時予約販売へと踏み切るといいます。なお、リターン出荷は2022年2月の予定。
同社は、同製品の普及が、釣果を上げることはもちろん、水圏の環境保全や魚の生息数の管理などにもつながっていくことを期待しているようです。2018年から「スマルア技研」のライターを務めている鹿児島大学名誉教授の川村軍蔵氏は同製品について、「魚の摂食行動を知る手がかりを与えるイノベーティブなルアーである。(中略)釣り人の記録データを正確に、グローバルに蓄積することで、そこからさらなる創意工夫が生まれ、釣りの技術が大きく進化するに違いない」とコメントしています。
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(文・Higuchi)