ソニーのEVがまた一歩実現に近づいたようです。ソニーとVodafone Germanyは、VISION-S Prototypeの5G走行試験をドイツのアルデンホーフェンにあるテストコースで2021年4月より開始しました。
ソニーのコンセプトEVVISION-Sは、「次世代の移動のカタチ」を追求するソニーのコンセプトEVモデルです。車両には、車内外の人や物体を検知・認識し、高度な運転支援を実現するために、ソニーの車載向けCMOSイメージセンサーやToFセンサーなど数種類のセンサーを合計33個配置。とにかく「あのソニーのEV」と考えるだけでワクワクさせられます。
ソニーによると「実環境で5Gのパフォーマンスを最大限に発揮するためには、アンテナ形状やレイアウトの最適化、また基地局間をまたぐ走行においてもシームレスに接続を維持するためのTCU(テレマティクス・コントロールユニット)におけるモデム制御の最適化が必要」になります。
このTCUとは、ワイヤレスの追跡、診断、自動車との双方向通信の各機能を制御する組込みオンボード・システム。 例えば、eCall(車両緊急通報)による事故の自動通知、自動料金収受システム(ETC)、車両追跡などで、これらのシステムを使うためのシステムのことで、5G走行を実現するために重要な役割を担っています。
ハードウェアおよびソフトウェアの設計ノウハウに加え、通信品質評価指標の策定や、フィールドテストにおける伝搬特性解析等は、ソニーが長年スマートフォンの開発を通じて培ってきた技術。これらを最大限に活用して、今後モビリティ開発に展開していきます。
5Gネットワークを有効活用VISION-S Prototypeの一番の特徴は、5Gネットワークへの接続機能が搭載されている点でしょう。車載システムとクラウドが常に繋がり、データや制御信号の同期、またOTA(Over The Air)でのシステムのアップデートが可能に。走行試験では、車両から取得する各種センサーデータのクラウドへの低遅延伝送や、高速走行中の車両でも通信環境を最適化するための検証と開発を進められています。
Vodafone GermanyのCEOであるハンネス・アメットストライター氏は「ソニーと我々は共同で5Gで初となるプロトタイプを準備しており、将来、無線とシンプルなソフトウェアアップデートにより、新たな機能を自動車に搭載できるようになります」と未来への期待を語っています。最近はGoogleやAppleの参入も話題となっているEV業界ですが、日本発のソニーの奮闘を期待したいものです。
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(文・Takeuchi)