環境に優しい短・中距離の飛行機に対する需要が増大していることを受けて、電動航空機を開発する米国のスタートアップBye Aerospaceが、8人乗りの「eFlyer 800」を発表しました。
二酸化炭素を一切排出せず、航続距離は約900キロと地域間の移動に使えるタイプです。運航コストも従来の航空機より大幅に抑制できるとうたっています。
都市間の移動にコロラド州拠点のBye Aerospaceは2人乗りの電動飛行機「eFlyer」で知られています。今回、Flyer 800では定員を4倍の8人に増やしていて、プライベートジェット機としても活用できそうです。
eFlyer 800は細長い胴体にウィングや尾翼を持つ、いわゆる普通の飛行機デザインですが、リチウムバッテリーパックで両ウィングに備わった電動モーターを動かして推力を得ています。
パフォーマンスはというと、航続距離926キロ。東京と福岡の距離が900キロ弱で、大方の都市間の移動には十分な距離といえそうです。そして巡航スピードは時速592キロ、最大高度は1万668メートルとなっています。
コストは5分の1気候変動を背景に交通分野で電動化が進むなか、航空では陸上ほど進んでいないのが実情です。大型ジェット機などでは再生可能な燃料を化石燃料と混ぜて使うなどの取り組みがありますが、完全電動はまだ難しいようです。その一方で小型飛行機はそのサイズゆえに電動化が比較的進んでいます。
しかもeFlyer 800は地球に優しいだけでなく、Bye Aerospaceによると運航コストも従来のジェット燃料飛行機の5分の1に抑えられるということです。加えて、騒音もかなり軽減できることが見込まれています。
8人乗りということで大量輸送は不可ですが、オンデマンド的な使い方には向いていそうです。世界各地で進む空飛ぶタクシーの取り組みと合わせて、今後はグリーンなオンデマンド「少量輸送」が一般的になるのかもしれません。
Bye Aerospace
(文・Mizoguchi)