Twitterのトレンドは、それをもとにニュース報道がなされたり、議論が巻き起こったりと、影響力が大きいものです。ところがこのトレンドは、意外にシンプルな方法で操作できてしまうよう。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者らはトルコを対象とした調査で、Twitterのローカルトレンドの半分近くが大規模操作により捏造されたものだったことを発見しました。
操作には、Twitterのトレンドアルゴリズムの脆弱性が悪用されています。
削除されたツイートもトレンドに反映されるTwitterは、アルゴリズムによりグローバルやローカルで人気の単語やフレーズ、ハッシュタグなんかを特定します。攻撃者は、削除されたツイートもトレンドの特定に用いられる……との仕様を悪用し、トレンドに押し上げたい候補を含めたツイートを作成しては、すぐに削除しているようです。
研究者らは、2015年6月~2019年9月の間に、10万8000のボットアカウントを発見。攻撃者はボットアカウントを利用してTwitterのトレンドを操作していました。
ボットアカウントには、偽アカウントと乗っ取られたアカウントが混在。乗っ取りにあったユーザーは、トレンド操作用のボットとして利用されていることに気づいていないか、気づいていても放置したままTwitterを利用し続けているとのことです。
ローカルトレンドの47%、グローバルトレンドの20%がフェイク調査結果からは、トルコのローカルトレンドの47%とグローバルトレンドの20%は、ボットによって捏造されたものだったことが明らかになりました。
フェイクトレンドには、フィッシングアプリ、ギャンブルの宣伝、フェイク情報キャンペーン、政治的スローガン、脆弱な人々に対するヘイトスピーチ……などが含まれていたといいます。その中には、“シリア人が出ていく”を意味する「#SuriyelilerDefolsun」とのハッシュタグがあり、ニュース報道やソーシャルメディア、学術論文などに広く取り上げられたものでした。
研究者らはトレンドアルゴリズムの脆弱性をTwitterに報告済みですが、まだ修正されていないとのことです。
参照元:Mass scale manipulation of Twitter Trends discovered/ EPFL News
(文・山田洋路)