数年前まではグラフィックやゲーム性において家庭用ゲーム機には及ばなかったスマホゲーム。ですが、現在では端末のスペック向上もあって、かなり本格的なゲームが手元で楽しめる時代になってきました。
新しいスマホといえば、カメラ性能や5G対応などに注目が集まりがちですが、「ゲーミングスマホ」と呼ばれるスマホゲームに特化したジャンルの製品も出てきています。
今回の記事ではそんなゲーミングスマホの特徴とその意味合い中心に解説していきます。
「ゲーミングスマホ」に明確な定義や要件はありませんが、「スマホゲームをより快適にプレイするために設計されたスマホ」という解釈が一般的です。現状、ゲーミングスマホ=Android端末と思って差し支えありません。
iPhoneでもスマホゲームは楽しめますが、メーカーのAppleは「ゲーミングスマホ」とは謳っていません。一方、Android端末ではメーカーがその旨をブランディングとして利用している機種がいくつかあります。
ゲーミングスマホの特徴としては、以下のようなことが挙げられます。
・ハイエンドSoC採用
・大容量メモリ(RAM)搭載
・高リフレッシュレートディスプレイ搭載
・冷却システムへのこだわり
・大容量バッテリー搭載
「SoC」とは、System on a Chipの略称で、パソコンで言うCPUに当たる部分です。
スマホに搭載されるSoCの主な機能としては、CPUに当たる機能に加えて、GPU(グラフィック処理装置)、電波で送られてきた情報を変換するためのモデムなども含まれています。
ゲーミングスマホによく採用されているものとしては、クアルコム製のSnapdragonシリーズが有名。中でもハイエンドと呼ばれるSnapdragon 800シリーズが現状では最高峰となっています(2021年7月現在)。
大容量RAMのメリットとROMとの違いここでいうメモリ(RAM)は、一般的なスマホでいう「○○○GB版」の数字とは違います。「○○○GB版」の数字はROMのことを意味していて、いわゆる写真データやスマホゲーム本体などを保存しておく記憶容量のこと。パソコンでいう、ハードディスクやSSDに当たる数字と考えるとわかりやすいでしょう。
一方のRAMは、スマホでの作業中のデータを一時的に保存しておくために利用されます。パソコンでいうRAMと同じ部分に当たり、搭載されているRAM容量が大きいと、同時に実行できる処理も増えるため、スマホゲームもより快適に動作するわけです。
スマホの3Dゲームを快適にプレイしたいのであれば6GB以上、最高画質でプレイしたり、ゲーム配信までを考えるなら8~12GB以上の機種が理想です。
高リフレッシュレートディスプレイとは?リフレッシュレートとは、1秒間に画面を書き換える回数を示します。
高いリフレッシュレート(数字が大きい)だと、より画面が滑らかに表現されるため、ゲーマーには重要な数字です。パズルゲームのような動きが少ないタイトルだとあまりメリットは享受できませんが、3Dアクションやレーシング系のゲームではその差を体感できると思います。
ゲーミングスマホとよばれる機種に搭載されているのは120Hz以上のタイプが多く、最近では液晶パネルではなく、より発色性に優れた有機ELパネルを搭載したものも出てきています。
冷却システムへのこだわりスマホでゲームをしていて、本体が熱をもって熱くなった経験がある方も多いと思います。ゲームは、グラフィックやサウンドに加えて、タイムリーな操作にも対応する必要がある処理が重いタイプのアプリなのでこういう症状が起こります。
ゲーミングスマホでは、ゲームプレイ中にできるだけ本体温度が上昇しないように、各社が工夫をこらした冷却システムを搭載していることがほとんど。現状の市場に出ている機種では、空冷システムがメジャーになっています。
これはスマホ本体に内蔵または外付けの冷却用の専用ファンがついており、本体の温度に応じてこのファンが回転してスマホを冷やす効果があります。冷却用ファンの制御もスマホアプリでコントロールできるようになっていることが一般的で、ユーザー設定も可能です。
大容量バッテリーの目安スマホゲームを遊んでいるとすぐバッテリーがなくなるというのはよく聞く話。ゲーミングスマホではこの点もカバーされています。概ね5,000mA以上のバッテリーが搭載されていることが多く、ハードにプレイしても充電の持ちは安心してよさそうです。
ゲームによっては横画面のものもありますが、一部の製品ですプレイするゲーム画面の向きに合わせて一般的な本体下部からの充電に加えて、側面からの充電に対応するゲーミングスマホも登場しています。
ゲーミングスマホはゲーム用途向けとはいえ、ハイスペックなスマホであるとも言えるため、SNSや動画閲覧などの通常利用時も快適に使えるスマホとも言えます。Android限定にはなってしまいますが、思いっきりスマホゲームを楽しみたいという方は選択肢に入れておきたい製品ジャンルです。
(文・辻英之)