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宇宙都市開発へ! 小型宇宙利用・回収PF「ELS-R」と技術実証機「ELS-R100」

Techable 2021年7月14日 20時0分

「宇宙都市開発」を目指す東北大学発ベンチャーの株式会社ElevationSpaceによると、2000年から本格利用が始まった国際宇宙ステーション(ISS)は、構造寿命などの関係から2024年以降の運用は未定で、運用終了後には宇宙利用を行う場所が無くなる可能性もあるといいます。

そこで同社は、小型人工衛星内での宇宙実験や製造を可能とする小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の開発に着手。また、「ELS-R」の実運用などに欠かせない「大気圏再突入技術」を獲得すべく、2023年の打上を目指して技術実証機「ELS-R100」の開発にも注力しています。今回はそんな同社にフォーカスしてみましょう。

小型で無人の人工衛星「ELS-R」

小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」は、微小重力環境を活かした宇宙実験や地球では不可能な高品質材料の製造を行い、その成果物を地上まで持ち帰ることができる小型の無人人工衛星。

これまでISSで行われてきた実験や創薬などを行えるプラットフォームとして期待されているようです。また、画像映像データを活用したプロモーションや教育などエンターテイメントおよび教育などの分野においても、その活用に注目が集まっているといいます。

「ELS-R」は、高頻度で打ち上げられるというのも強み。1機あたりの価格が低い小型衛星であることと、安全審査が比較的簡単な無人衛星であることが理由です。例えば、宇宙ステーションのような大型プラットフォームでは、半年に1回程度しか打ち上げられませんが、「ELS-R」は毎月打ち上げられる可能性もあるといいます。

大気圏再突入技術の獲得へ

同社の目標は、「ELS-R」で培った技術をもとに宇宙ホテルや月面基地などの宇宙建築事業、人や物資などを運ぶ宇宙輸送事業を展開していき、軌道上や月・火星に人が持続的に住める未来の創造。「ELS-R」の運用は「宇宙都市開発」の一歩というわけです。

しかし、「ELS-R」の運用をはじめ、有人輸送や惑星探査、サンプルリターンなどのさまざまなミッションにおいて必要不可欠な技術があります。それを「大気圏再突入技術」といい、衛星などを宇宙空間から大気圏に突入した際に燃え尽きさせず、狙った場所に正確に帰還させるという技術です。

この技術を獲得すべく、2023年に打ち上げられようとしているのが100kg級の小型人工衛星「ELS-R100」。大気圏再突入技術の実証機として、地元東北の名産品を搭載し、東北から宇宙を目指すとのことです。

今回同社は、「ELS-R100」の開発を加速するため、株式会社MAKOTOキャピタル、事業会社、個人エンジェル投資家計8者を引受先とする第三者割当増資による約3000万円の資金調達を実施。補助金なども含めた累計調達額は創業半年で約4000万円となりました。

ちなみに、同社は2021年6月にSpace BD株式会社と地球低軌道領域における宇宙利用プラットフォームの開発に向け、具体的な協業策について覚書を締結しています。

PR TIMES
PR TIMES(Space BD株式会社との協業)

(文・Higuchi)

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