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Harmony OS搭載のタブレットを発表したファーウェイ! 周辺機器戦略について解説

Techable 2021年7月26日 11時30分

米国の制裁が続き、スマートフォンの新モデルを投入できない状況が続いているファーウェイ。そんな同社が取った戦略は、“スマホ以外”の製品を拡充することです。

ファーウェイの日本法人は、7月13日にオンラインで新製品発表会を開催しましたが、そこで発表されたのも、PC、モニター、タブレット、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンでした。このうち、タブレットの「MatePad 11」とスマートウォッチの「HUAWEI WATCH 3」には、ファーウェイの独自OSである「HarmonyOS 2」が搭載されています。

19年からの制裁が続き、ファーウェイのスマホに対する包囲網は徐々に強化されていきました。まず、OSに関しては、グーグルが取引を禁止されたことで、Androidの上に乗る「GMS(Google Mobile Service)」が使用できなくなりました。次の段階として制裁対象に加わったのが半導体。ファーウェイ製のチップセットであるKirinを製造していた台湾TSMCが取引を停止したこともあり、スマホが開発しづらい状況になっています。

これに対し、ファーウェイはGMSの代わりに「HMS(Huawei Mobile Services)」と呼ばれるサービスを立ち上げ、グーグルの「Playストア」に代わる「App Gallery」を導入します。Androidでありながら、グーグルのサービスではなく、ファーウェイのサービスを使えるようにしたというわけです。半導体は、PCがインテル製、タブレットはクアルコム製、取引が許可されている大手ベンダーから調達したものが採用されています。

OSのエコシステムを自前で開拓しつつ、他社の半導体を使うことでスマホの周辺分野を充実させているのが今のファーウェイの戦略です。米国の制裁下で取れる選択肢は限られていますが、可能な限り、製品ジャンルを広げて生き残りを図っていることが見て取れます。スマホメーカーから総合IT機器メーカーへの脱却ができるかどうかが、同社の今後の占うカギになりそうです。

こうしたファーウェイの戦略を支えているのが独自OS。上記の通り、スマホやタブレットはAndroidの上に載せるサービスをGMSからHMSに変更していましたが、これを発展させたのがMatePad 11に搭載されているHarmonyOSです。調和(ハーモニー)をその名にしているとおり、端末同士の連携が容易にできることを最大の特徴に掲げています。

例えば、HarmonyOSを搭載したタブレットは、ファーウェイ製のスマホを近づけるだけで簡単につながります。タブレット側にスマホの画面を表示して、キーボードやマウスでスマホを操作することが可能。データをコピーするのもドラッグ&ドロップだけでできるようになります。同様に、Windowsを搭載したファーウェイのPCとも簡単につながり、サブディスプレイとして機能します。これが、連携を重視しているHamornyOSの特徴です。

一方で、MatePad 11を見る限り、ユーザーインターフェイスはAndroidのそれに近く、新たなOSだからと言って、ゼロから操作を覚える必要はありません。ドックを備えていたり、複数のアプリを同時に表示する際の操作方法だったりはややiPadに近い印象ですが、これまでタブレットを利用したことがあるユーザーであれば、特に迷うことなく操作はできるはずです。また、アプリはHMSを搭載したファーウェイのスマホと同様、App Galleryからダウンロードできます。

これは、同じHarmonyOS 2を搭載したHUAWEI WATCH 3も同じで、ユーザーインターフェイスが抜本的に変わったというわけではありません。元々ファーウェイのスマートウォッチには、Linuxベースの独自OSが採用されていましたが、これを発展させたような仕様になっています。タブレットに搭載されるHarmonyOSと、スマートウォッチに搭載されるHarmonyOSは、同じ名称ですが、どちらも旧来の製品が採用していたOSを進化させたものと考えていいでしょう。

スマホに比べ、タブレットはAndroidの競合が少なく、アプリの数も限定的。App Galleryでタブレットならではの用途を満たすことがきちんとできれば、チャンスはスマホより大きくなりそうです。グーグルの力が相対的に弱いスマートウォッチにも、同様のことが言えます。ただ、連携の中心になるスマホが不在になってしまうため、HamornyOSの力が十分生かされない可能性もあります。半導体の規制でチップセットの調達が思うようにできない中、ファーウェイが次の一手をどう打ち出してくるのかは注目しておきたいポイントと言えるでしょう。

(文・石野純也)

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