近年の月面探査・基地開発競争の加速に伴い、より安全かつ低コストなロボット労働力の需要が急増しているといいます。この流れの中、宇宙ロボットスタートアップのGITAI Japan株式会社は、月面探査・基地開発作業を遂行できるロボットローバーの開発に着手。このたび、プロトタイプ1号機による地上実証に成功し、その動画を公開しました。
次の目標は月面実証プロトタイプ1号機の地上実証では、高速移動、不整地走行、3次元地図生成、電動ドリルによる地表採掘作業、ツールチェンジャ機能によるエンドエフェクタの切り替え、地中の石のサンプリング作業に挑戦し、すべての作業を遂行しています。
動画では、不整地を力強く走行したり、急な段差でも転倒しない様子などが確認可能。また、電動ドリルで地表に穴を掘り、エンドエフェクタをロボットハンドに切り替えて穴の中に埋まっていた石を掴む作業のスムーズさも見どころです。同ロボットローバーは、今後さらなる汎用作業性能向上・宇宙船外対策を進め、2025年中の月面実証を目指します。
「S1」がいよいよ宇宙へ!同社は「宇宙に対して安価で安全な作業手段を提供する」というビジョンを掲げ、宇宙用の作業ロボット「S1」「G1」および地上から遠隔操作するためのシステム「H1」を開発中です。
その中でも注目したいのが単腕型作業ロボット「S1」。これは、宇宙ステーション船内外や軌道上サービス、月面基地開発における特定の作業を自動化するロボットで、AIを用いた自律制御と「H1」を活用した地上からの遠隔操作を組み合わせ、スイッチ操作・工具操作・組み立て作業など汎用的な作業を1台のロボットアームで遂行することができるのが特徴です。
「S1」は、2020年12月に地上実証を終え動画を公開しています。2021年度内にはISS(国際宇宙ステーション)のBishopエアロック船内で汎用作業遂行技術実証を実施予定で、2021年6月にNASAによる安全審査をすべて通過し、ISSへの打ち上げ準備が完了。8月18日に打ち上げ予定のSpaceX社のロケット(Dragon貨物輸送宇宙船CRS-23)によりISSに輸送される見込みです。
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(文・Higuchi)