流動資産を担保として活用する金融手法であるABL(Asset Based Lending:動産・債権担保融資)。中でも、家畜等を担保にお金が借りられる畜産ABLは、不動産担保や保証に過度に依存しない 新たな融資手法として注目されています。しかしながら、放牧を取り入れた畜産を対象とする場合、融資に必要となる個体数の確認や個体ごとの状況把握に、時間やコストがかかるという課題がありました。
そこで、東京工業大学、信州大学、電通国際情報サービス、ファームノート、テクノプロ・デザイン社、ソニーグループ株式会社の共同プロジェクトチームは実証実験を開始。持続可能な畜産経営への貢献を目指します。
実証実験の内容は?本実証実験は、鹿児島銀行の協力を得て、牛の島として知られる沖縄県竹富町黒島のさくら牧場にて実施。共同プロジェクトチームが開発した放牧牛群管理システムPETERの活用により、個体を遠隔からモニタリングすることが可能です。
まず、さくら牧場の放牧牛10頭にPETERの首輪デバイス(PETERエッジ)を装着し、アプリケーションで放牧牛の遠隔モニタリングを行います。PETERエッジのAI分析アルゴリズムにより、放牧牛の位置データや、歩行、摂食、反芻、休息といった行動や状態が推定されます。
これらの放牧牛の位置データと活動データに加え、牧場内の環境データをクラウド(PETERクラウド)に集約。銀行がABL業務を行う上で有効なデータ項目の抽出と、PETERクラウドを介した銀行へのデータ提供のあり方を検証します。
畜産農家の放牧牛管理と金融機関のABL管理を省力化PETERを活用したABLの実現性検証の取り組みは、畜産農家の放牧牛管理と金融機関のABL管理の省力化につながると考えられます。また、適切・効率的なABLの実行は、持続可能な畜産経営に貢献するでしょう。
本実証実験は、2022年3月末まで実施される予定。追加すべき機能の洗い出しや課題の抽出を行っていくとしています。
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(文・和泉ゆかり)