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リチウムイオン電池の高純度レアメタルリサイクルフロー確立へ

Techable 2021年8月3日 7時0分

希少金属と言われる「レアメタル」は、電気電子機器の小型化・高性能化や電気自動車用のモーターなどに必要な材料ですが、産出の地域偏在性や急激な価格変動により、安定供給が困難という課題があるようです。近年では、レアメタルをリサイクルできる使用済製品を「都市鉱山」と呼び、環境省と経済産業省による「使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会」や企業、自治体などでさまざまな取り組みが進んでいます。

しかし、レアメタルのリサイクル技術の多くは実証段階にあり、いまだ事業化に至っていないのが現状。

そんな中、株式会社エマルションフローテクノロジーズ(EFT)と株式会社エンビプロ・ホールディングスが、リチウムイオン電池(LIB)からの低コストかつ高純度なレアメタル回収の実現を目指し、共同研究契約を締結しました。

コア技術「多段エマルションフロー」

EFTは、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が開発した溶媒抽出技術「エマルションフロー」を活用した事業を展開するベンチャー企業です。「エマルションフロー」とは、物質の分離・精製手法のひとつ。従来の溶媒抽出技術では、異なる液相を「混ぜる」「置く」「分離する」という3工程で目的成分を抽出していましたが、エマルションフローでは「送液」の1工程でこれらの3工程を同時に行うことが可能です。

同技術は、従来技術と比較し、生産能力10倍、ランニングコスト5分の1を実現。また、密閉構造で無臭・快適な作業環境を実現するとともに、IoT管理による自動化にも対応し、人件費削減にもつながるといいます。これだけでも充分に革新的な技術ですが、最近になって従来比100倍の生産能力と99.99%以上の高純度化、これまで困難とされていたレアアースなどの元素分離を可能にする「多段エマルションフロー」が開発されました。この「多段エマルションフロー」こそが、EFTの事業のコア技術で、低コストかつ高効率にレアメタルの高純度精製が可能な唯一の方法だといいます。

レアメタルの水平リサイクルを実現

今回、EFTと共同研究契約を締結したエンビプロHDは、LIBリサイクル事業を推進中。2010年よりLIBリサイクルの研究開発を進め、2018年1月に株式会社VOLTAを設立してLIBリサイクル事業に参入しました。2020年からは、リサイクル設備を稼働させ、ニッケル、コバルト、リチウムを含むレアメタル濃縮滓(かす)の生産・販売を開始しています。

このたびの契約において、エンビプロHDは、LIBの集荷と1次処理したレアメタル濃縮滓の提供などを担い、EFTはエマルションフローによるレアメタル抽出フロー開発とエマルションフロー装置のスケールアップ開発を担当。こうして両社は、LIBのレアメタルリサイクルフローを確立し、「都市鉱山」から回収したレアメタルをハイテク産業に直接再利用できる「水平リサイクル」を実現することで、両社の持続的な企業価値の向上および持続可能な社会の実現に貢献したいとのことです。

PR TIMES

(文・Higuchi)

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