「空飛ぶクルマ(eVTOL)」を開発する株式会社SkyDriveは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)と協力し、空力特性の研究を開始したことを発表しました。
この研究で取得したデータを元にプロペラの改良を重ね、エネルギー効率、静音化などの性能、ならびに安全性のさらなる向上を目指します。
JAXA保有施設で行う空力特性の研究「空飛ぶクルマ」のプロペラは飛行機やヘリコプターとは異なる用い方をしています。そのため、プロペラが発生させる推力や、プロペラに作用する抗力などの空力特性にはまだまだ未知の領域が多いようです。
そこで、SkyDriveは実機での試験データを取得するべく、JAXAが保有する日本最大の航空機用風洞試験設備にて風洞試験を行い、空力特性の研究を開始しました。
風洞試験とは、固定した模型の周りに任意の速度で空気を流し、大気中を飛んでいるかのような状態を再現し、模型に働く力や周りの風の流れを計測するというもの。
風洞の歴史は長く、風洞試験はライト兄弟の時代から行われてきた方法です。これまで日本で開発された航空機のほぼすべてが、JAXAのこの施設で風洞試験を実施しているとのことです。
SkyDriveは、この試験結果をもとに空気がプロペラにどのような影響を与えるのか、研究を進めていきます。ちなみに、「空飛ぶクルマ」のプロペラがJAXAの施設で風洞試験を行ったのは、同社が日本で初めての事例だそう。
「空飛ぶクルマ」の今後都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている「空飛ぶクルマ」。日本では、2023年頃の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されており、各社で「空飛ぶクルマ」の実現に向けて開発が進んでいます。
SkyDriveでは、JAXAの協力のもと取得したプロペラの試験データと、自社で保有しているデータをもとに、一層開発をスピードアップさせ「空飛ぶクルマ」の性能ならびに安全性を高めていくとのことです。
SkyDrive・最高技術責任者の岸信夫氏は「今回SkyDriveがこの設備で試験をしたことによって、SkyDriveが開発する『空飛ぶクルマ』が、安全安心な信頼できる航空機へ一歩近づいたと感じています」とコメントしています。
PR TIMES
JAXA
(文・Saki Amano)