スウェーデン王立工科大学(KTH)、オックスフォード大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)らの研究チームは、「個人の炭素排出枠(Personal Carbon Allowances:PCAs)」実装の提案と、その設計原則を発表しました。
以前は実装不可能と考えれていたPCAsですが、AIとICTの進歩により、実現の可能性が出てきたとのことです。
インセンティブ導入で個人の行動を炭素削減目標と結び付けAIとICTの進歩と相まって、COVID-19により個人の行動が変化した現在は、PCAs実装を再考する絶好の機会だといいます。
PCAsには市場ベースのアプローチを適用し、インセンティブを設けることで個人の行動を炭素削減目標と結び付けます。
また、今でも「食器洗い機に入れる前に食器をすすぐ」といったアドバイスを得ることは可能ですが、PCAsでは、ほかの人たちの貢献状況および、より効果的な貢献につながる具体アクションを知れるようにします。
コロナ危機からの持続可能な回復をもたらす可能性も研究チームは、PCAsの実装が国の経済成長にメリットをもたらすことも示しました。低炭素インフラの整備や技術的革新は、コロナ危機からの持続可能な回復をもたらす可能性があります。
また低炭素のライフスタイル促進によって、新たなビジネスが創出。たとえば、個人間炭素クレジット取引の市場が生まれる可能性があるとのことです。
一方で、PCAs実装においては脆弱な人々にも配慮した設計が必要とのこと。また、先行者となる国にはリスクが伴うことも言及されています。
参照元:Pandemic and digitalization set stage for revival of a cast-off idea: personal carbon allowances/ KTH
(文・山田洋路)