AIやロボティックスなどの最先端技術を活用した新たな食インフラの創造を目指す、TechMagic株式会社。同社は、慢性的な人手不足や高コスト構造に悩む食産業に対するソリューションとして、一連の調理工程・単純作業を自動化する各種ロボットや、「味」を可視化して均一にするIoTセンサーデバイスなどを開発してきました。
また、ロボットの開発を通じ、多様化する食のニーズを満たすパーソナライズされた食体験など、新しい価値を提供するフードサービスの創出にも注力しています。そんな同社がこのたび、新たな事業展開を発表しました。
TechMagicのロボット同社は株式会社プロントコーポレーションと共に、全自動パスタ調理ロボット「P-Robo」を開発中。これは、独自開発したロボットアームにより、麺を茹でるところから、具材・ソースの供給、混ぜ合わせ、加熱、さらに調理後の鍋洗浄といった複雑な作業まで自動化できるロボットです。
一部の作業を自動化するロボットと違い、省力化ではなく省人化を実現できるという点が強みのひとつでしょう。なお、「P-Robo」は熟練の調理技術を再現した美味しいパスタを従来のオペレーションと同等のスピードで提供するようです。
また、2台のロボットが協調して洗浄後の食器を自動で仕分ける「finibo」も開発しています。「finibo」には、ベルトコンベア上から食器を取り上げるロボット(Picker)と、食器をコンテナにしまい込むロボット(Stower)を搭載。Pickerがあらかじめ外観を登録した食器をカメラで認識してピックアップし、一旦台の上に置くと、それをStowerが種類ごとに仕分けてコンテナに平らに積むという作業を行います。
そして、1杯あたり約30秒でドリンク(生ビール・レモンサワー・ハイボール)を完成させるロボット「D-Robo」。ロボットアームがグラスをつかみ、注文に応じて各ディスペンサーから必要材料を自動で抽出、組み合わせることで複数のドリンクを1台で提供することができます。スピーディーな提供を実現しようとすると、中の液体がこぼれるという懸念がありますが、「D-Robo」は運ぶグラスをあえて傾けることでこぼれるのを防いでいるようです。
日清食品と共同開発へ同社は、2021年下期から「P-Robo」の実店舗導入を予定していて、「P-Robo」の量産化に向けた製造・保守メンテナンス体制構築を進めると発表しました。また、ハードウェア・ソフトウェア各種要素技術の研究開発強化、新たな食体験創造を目的とした新規事業開発なども視野に入れ、エンジニアをはじめとする各部門の採用も強化していくとのことです。
これらを実現すべく、このたびシリーズBラウンドで15億円の資金調達を実施。引受先として、既存投資家のジャフコ グループに加え、新たにSBIインベストメント、JA三井リース、日清食品ホールディングス、DEEPCORE、ダイニングイノベーション創業者西山知義氏が名を連ねています。
そして同時に、日清食品株式会社との共同開発契約を締結。日清食品が進める「完全栄養食メニュー」の研究において、必要な量を正確に盛り付け、1食に含まれる栄養バランスを自動で整える調理ロボットの開発・実装を目指します。
初期段階では「チンジャオロース」など不定形の食材を具材から判別し、正確に必要量を盛り付ける技術開発に注力。将来的には、最適な品質を保ちながら食事の調理、盛付けから提供までを完全に自動化する「スマートキッチン」構想の実現に取り組んでいくといいます。
PR TIMES
TechMagic株式会社
(文・Higuchi)