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タンパク質素材「Brewed Protein™」を開発するSpiber、グローバル展開を加速

Techable 2021年9月11日 9時0分

Spiber株式会社は、植物由来のバイオマスを主な原料とするタンパク質素材「Brewed Protein™(ブリュードプロテイン™)」を開発中。持続可能な社会の発展に資する次世代の基幹素材として注目されている「Brewed Protein™」は、すでに多数のグローバルアパレルブランドとの共同プロジェクトに活用されています。

そしてこのたび、Spiberは総額344億円を調達し、グローバルな量産・販売網の強化に向けて事業を展開していくと発表しました。

脱石油・脱アニマルを目指す

「Brewed Protein™」は、植物由来のバイオマスを主な原料とし、Spiber独自の微生物発酵(ブリューイング)プロセスによりつくられるタンパク質素材。

シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸、上質でなめらかな肌触りのカシミヤ、まるで本物と見間違うようなアニマルフリーファーやアニマルフリーレザー、さらには医療用材料、次世代軽量複合材料への添加剤など、多様な形に姿を変えることができるといいます。

また、同社内でのライフサイクルアセスメントの結果によると、カシミヤをはじめとする動物由来繊維と比較して、温室効果ガスの排出量を大幅に軽減できる可能性が示されたとのこと。

さらに、石油化学由来の素材に頼らず、環境中に長く存在し続けるマイクロプラスチックを生み出さないことから従来の素材よりも海洋汚染に対する影響が少ないことも期待されます。

このような特徴から、アパレル分野や輸送機器分野など、さまざまな産業における脱石油・脱アニマルのニーズに対し大きな役割を果たせる可能性を秘めた素材として注目されています。

「Brewed Protein™」活用事例

同社はこれまで、Goldwinとの共同プロジェクトを通じ、毛素材と「Brewed Protein™」を混紡したセーター「The Sweater」などを開発しています。

また、2021年7月7日には、YUIMA NAKAZATOが「Brewed Protein™」を使用した2021-22秋冬コレクションを、パリ・オートクチュール・ファッション・ウィークにて映像作品として発表。

同素材に特殊なデジタル加工を施すことで生地の形状を自由に変形させることができるYUIMA NAKAZATOの独自技術「Biosmocking(バイオスモッキング)」により「音の可視化」というテーマに沿った神秘的かつ多様なフォルムのルックを生み出したといいます。

グローバル展開を加速。IPOも視野に

同社は、2021年内にタイのラヨン県にて同社初となる量産プラントの稼働を開始予定。また、米国・アイオワ州にて協業先のADM社と新たに量産体制を構築しており、早ければ2023年に稼働を開始する見込みです。

このようなグローバルでの量産・販売網の強化に向け、カーライルを中心とする世界有数の投資家および、既存投資家である株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)などの国内投資家を割当先とする第三者割当増資による総額244億円の資金調達を決議。

また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社をアレンジャーとした「事業価値証券化 (Value Securitization)」による100億円の資金調達も決議し、総額で344億円の資金調達を実施します。

なお今回の資金調達に際し、アンカー投資家であるカーライル、クールジャパン機構からそれぞれ1名ずつ取締役を受け入れる予定。両投資家の持つ知見やネットワークを最大限活用し、大規模なグローバル展開を加速すると共に、数年内に計画するIPOに向けてグローバルな機関投資家との対話を強化していく構えです。

PR TIMES(1)(2)
Spiber株式会社

(文・Higuchi)

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