異常気象による惨事が世界あちこちで頻繁に発生するようになり、気候変動の主要原因と指摘されている二酸化炭素(CO2)排出を抑制する必要性が高まっています。もはや、問題を先送りする余裕はなく、今後のCO2排出を抑えるだけでは十分とはいえません。
そこでスウェーデンのベンチャー企業Climeworksが取り組んでいるのが、すでに大気に放出されたCO2を回収するDAC(Direct Air Capture)という技術。このほど、世界最大のDACプラント「Orca」をアイスランドで稼働させました。
CO2を地中深くで岩石にOrcaで目を引くのが換気装置です。コンテナ型の換気装置が重ねられるモジュラー式になっています。Orcaは2020年5月から建設が始まり、完成したのを受けて稼働を始めました。
仕組みはというと、Orcaのファンが回って周辺の大気を取り込み、その大気からCO2だけを抽出します。もちろん、回収したCO2が再び大気に戻らないようにしなければ意味がありません。
Climeworksによると、取り出されたCO2は地中深くに送り込まれ、そこで自然の岩石化プロセスで岩石に変えます。OrcaがCO2回収・貯蔵プラントと呼ばれている所以です。
年4000トンのCO2を回収Orcaは、最大で年4000トンのCO2を大気から取り除くことができるといいます。稼働させるのに必要な電力は、近接する地熱発電所からの再生可能エネルギーを活用しているとのことです。
回収技術はともかく、貯蔵が実際に機能するかどうかは長期的に検証する必要がありますが、理論のように運べば差し迫っている気候変動に対して有効な手段となり得そうです。
一部の企業は最先端の環境技術の1つであるDACに関心を寄せていて、ClimeworksはすでにMicrosoftやShopifyと提携していますが、パートナー企業は今後さらに増えるかもしれません。
Climeworks
(文・Mizoguchi)