医療技術は最先端テクノロジーの活用や新たな学術研究などによって発展を遂げています。一方で、医療技術の発展だけでは解決することが難しいのが「非効率な救急搬入」や「たらい回し」といった救急業務の課題のようです。
こうした課題の解決に取り組んでいるのが、千葉大学医学部発のスタートアップ株式会社Smart119。救急医療情報サービス「Smart119」を筆頭に様々なサービスを開発・提供しています。
同社はこのたび、「Smart119」が山梨県主催の「TRY! YAMANASHI! 実証実験サポート事業」のライフサイエンス部門に認定されたことを発表しました。本事業は、同県全域を対象に最先端技術(医療、エネルギー、モビリティ、農業など)の実証実験を行い、社会実装を目指すというもの。
Smart119社は、山梨県内の救急搬入の効率化(時間短縮、救命率向上)を実現すべく、地域特性に最適化したシステムの開発・運用に取り組みます。
地域毎に最適化した「Smart119」の展開に向けて「Smart119」は、急性期医療に不可欠である「適切な病院の選択」「早急な搬入」「搬入後の迅速で正確な対処治療」を支援する救急医療支援システムです。実際の救急・医療現場から開発され、現在千葉市において運用されています。
医療資源(医療機関、人員など)や地域特性に大きく左右される救急医療。医療機関数が多いものの、救急出動要請も多い都市部では、救急隊の慢性的な業務過多が課題となる一方で、地方では夜間時に受入医療機関が限られるなどの別の課題があるといいます。
今回の山梨県における実証実験では、救急搬入困難の解消と搬入時間の改善のため、地域に寄り添ったシステム開発ならびに運用面の検証を行います。実証実験から得られたデータ、人口構成や気候、消防署、保有救急車台数、医療施設数などの地域特性を分析し、山梨県に最適化した「Smart119」を提案していくとのことです。
消防指令センター・救急隊・医療機関と連携本実証実験は、9月下旬から来年2月末日までの間、山梨県内消防本部の指令課・警防課・救急課、山梨県内のメディカルコントロール協議会、2次・3次救急指定病院救急科の協力のもと実施されます。
各消防本部指令センターと救急隊には、タブレット端末を配置。119番通報など救急事案が発生した場合、端末に患者情報の入力を行い、その情報を病院への患者受入要請に使用します。病院はPC画面で救急隊から送られてきた患者情報を確認し、受入可否の判断・返答を行い、受け入れ可能な場合は準備を整えるというものです。
今後Smart119社は、本実証実験の成果を全国の自治体への事業展開に生かし、生活者にとって安心と信頼ある医療に貢献していきたいとしています。
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Smart119
(文・Saki Amano)