米・スタンフォード大学発のスタートアップ・エイターリンク株式会社は、慶應イノベーション・イニシアティブ・伊藤忠テクノロジーベンチャーズから2億円の資金調達を実施しました。
FA業界の長年の課題を解決へワイヤレス給電技術の研究開発を行うエイターリンク社。同社は、FA(Factory Automation)・ビルマネジメント・メディカルの3領域への応用を目指しています。
まずFA領域では、「断線しやすい可動部」や「配線しにくい箇所」のセンサーのワイヤレス給電を実現します。同社によると、ダイナミックに稼働するロボット先端部の配線は、高頻度で断線することが多く、FA業界においては長年の課題であったといいます。各種センサーのワイヤレス給電を実現することによりこの問題を解決し、さらに取り替えコストの大幅な削減も可能に。市場導入は2022年後半以降を予定しており、それに向けた製品開発を進めているとのことです。
次に、ビルマネジメント領域です。空間の中で人がいる領域は最適な環境を保ち、不在時や人がいない領域は環境条件を緩めることで、快適性と省エネルギーの両立を図るシステム「タスクアンビエント空調」。同システムは便利な一方で、センサーを設置するのに多額の配線コストやバッテリー交換コストなどの課題があったといいます。
これに対しエイターリンク社が持つ技術は、温湿度センサー・照度センサー・CO2センサーなどの環境センサーに加え、ドア窓センサー・人感センサー・漏水センサー・コンクリート内のひずみセンサーなどまで、一括したワイヤレス給電を実現します。同技術は、2021年11月より実際の市場投入を予定しているとのこと。
感覚器へのデバイスを開発そしてメディカル領域では、心臓のペースメーカーをはじめとする「メディカルインプラントデバイス」をワイヤレス給電する研究開発を行っています。薬での解決が難しい病気をインプラントデバイスで解決することを目指しており、同領域における最初のターゲットアプリケーションは、感覚器へのデバイスを想定しているといいます。現在は基礎開発段階で、市場導入は2025年以降を予定しているそうです。
エイターリンク社は、調達した資金を用いて、開発体制の強化や、FA・ビルマネジメント領域の製品投入を実現していくほか、メディカル領域への市場導入も進めていきます。
同社が目指すのは、ワイヤレス給電による、配線のないデジタル社会の実現。今回、リード投資家となった慶應イノベーション・イニシアティブの野村直児氏は「今後、エイターリンクは、IoEやワイヤレス給電への皆の認識をグローバル規模で一新する存在になるでしょう」と話しています。
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エイターリンク
(文・Takeuchi)