航空大手エアバスは、ソーラー発電しながら長時間にわたって飛行し続ける、開発中の無人航空機「Zephyr S」が高高度飛行試験で高度2万3200メートル近くを飛んで世界記録を樹立したと発表しました。
2つのフライトの飛行時間は計36 日で、地上観測や通信中継点としての実用化も視野に入ってきました。
太陽電池で長時間飛行Zephyr Sはソーラー高高度プラットフォームシステム(HAPS)と呼ばれるもので、従来の航空機と違って搭載する太陽電池で長時間飛行することができるように設計されています。
今回、エアバスは英国防省と共同で試験を米国アリゾナで実施しました。一連の試験で行った高高度のフライト試験では、Zephyr Sは2回のフライトで計36日間飛行しました。
その中で高度2万3195メートルを達成し、これはこのクラスの無人機によるものとしては世界記録となります。
軍事展開での活用また今回は、米連邦航空局の許可を受けて規制飛行空域外と、商業飛行機と共有する飛行空域内でも試験を実施し、Zephyr Sが問題なく飛行できることが確認されました。
こうした試験結果について英国防省で防衛機器などを担当する責任者は発表文の中で「HAPSの有用性を示すことに向けた重要な成果」としています。具体的にはHAPSが軍事を展開する上で新たな手段になると考えているようです。
そして、HAPSは軍事だけでなく、地球観測や通信衛星の代替としての活用も考えられています。たとえば、災害などで通信網が遮断された場合に、Zephyr Sに通信設備を搭載して被害エリア上空を漂わせ、通信衛星的に使うということが考えられます。
太陽電池で飛行し、二酸化炭素を排出しないことから地球に優しい観測・通信手段としても注目されているようです。
Airbus
(文・Mizoguchi)