米空軍は、支援するプロジェクトにて、民間企業Twelveが大気中の二酸化炭素、水、電力を使ってジェット燃料を生成することに成功したと発表しました。
同社の技術を使って、ゆくゆくはカーボンニュートラルなジェット燃料を大量生産することを目指していて、初期パイロットプログラムは12月にも完了する見通しです。
副産物は酸素のみ「E-Jet」と命名されたこの合成燃料は、大気に含まれている二酸化炭素を抽出し、独自の技術で二酸化炭素を燃料に変えるというものです。
技術の詳細は非公開ながら、生成プロセスに使うのは二酸化炭素以外には水と電力のみ。理論上は地球上どこででもオンデマンドでジェット燃料を作ることができる、ということになります。
そして副産物として出るのは酸素だけというのもポイントです。使用する電力を再生可能エネルギーにすれば、完全カーボンニュートラルな燃料となります。
実は軍事目的米空軍は2020年に、炭素変換会社であるTwelveがこの技術を証明するというプログラムのサポートに署名し、今年8月に合成ジェット燃料生成に成功したとのことです。このプロジェクトは進行中で、第一段階は12月にも終了します。
二酸化炭素と水を使ったジェット燃料生成は気候変動対策として有効ですが、米空軍にとっては他に大きな目的があります。軍事上、燃料の確保は必須であり、どこでも生成できる技術を獲得するというものです。
米空軍によると、燃料輸送は敵軍の格好の標的となっていて、アフガニスタンでは米空軍の死傷者の30%が水・燃料輸送への攻撃によるものとのことで、つまり輸送をなくすことはリスク削減につながります。
プロジェクト第1段階終了後は、大量の燃料生産に向けて次なるフェーズに入ります。軍事目的で着手された技術ではありますが、民間転用も十分視野に入るもののようです。
Air Force
(文・Mizoguchi)