テキサスA&M大学・教育人間開発学部のスポーツ研究チームは、TVのスポーツ広告にバッググラウンドミュージック(BGM)を流すことで、消費者の購買意欲が刺激される可能性があると報告しました。
BGMが感情の高ぶりを誘発同大学の研究チームは、「スポーツ広告を見ているときの消費者心理に対するBGMの影響」を調べるため、実験を実施。54人の実験参加者をランダムに2つのグループに分け、定量脳波(qEEG)の記録などを測定し、グループ間の変数の平均差を比較しました。
実験では、2012年に韓国で放映された2つのテレビ広告を使用。女性用のランニングシューズを宣伝する15秒のコマーシャルです。「BGMなし」のグループはナレーションのみのコマーシャルを、「BGMあり」のグループは、ナレーションに加え、韓国のミュージシャンPeppertonesの曲がバックグラウンドで流れているコマーシャルを、視聴しました。
実験の結果、BGMを聞いていたグループのほうが感情的な高ぶり・注目度合い・ブランドへのポジティブな態度・購入意向が、そうでないグループよりも高かったことがわかったといいます。定量脳波の記録を取ったところ、「BGMあり」のグループは、理性や感情などをつかさどる前頭葉領域がより活性化されたのです。
購買意欲にもつながる一方、脳波だけでは測定できない「ブランドへの好意・購買意欲」については、どのような結果だったのでしょうか。同大学が両方のグループにアンケートをとったところ「BGMあり」のグループの方が強い購買意欲を持つことがわかったといいます。
購買意欲の度合いを7点満点として、「BGMあり」グループの平均は4.36、「BGMなし」グループの平均は3.64に。つまり、BGMありでスポーツ広告を見ることによって「ブランドへの注目」が促され、結果的にブランドの購買意欲が高まることを示しました。
同研究に関する論文を共同執筆したJun-Phil Uhm氏は「BGMの重要性は、ダイナミックな映像とリズミカルな音楽をミックスできるスポーツ広告において、特に認識すべきでしょう。 広告主は、スポーツの鮮やかな映像と適切なBGMと組み合わせることで、消費者への訴求力を高めることができるはずです」とコメント。
すべてのBGMが効果的であるとは言い切れないようですが、スポーツ広告とBGMの相性は良いのでしょう。研究チームのLee氏とUhm氏は、今回の研究結果をもとに、さらに研究を進めていくとしています。
How Background Music In Ads Affects Consumers
(文・Takeuchi)