牛などの家畜の個体検査業務では、へき地である酪農地帯から検体を配送する必要があり、陸路での運搬には時間を要すこともあるため、品質が損なわれる可能性が否定できません。また、運送業界の人手不足により、配送手段の確保が困難になりつつあるといいます。
そこで、株式会社エアロネクスト、セイノーホールディングス株式会社、経済産業省北海道経済産業局、イノベーションチャレンジ実行委員会の4者は、株式会社ノベルズ協力のもと、北海道上士幌町にて、ドローン配送と陸上配送を組み合わせ、牛の検体(乳汁)を配送する実証実験を2021年10月8日に実施しました。
実証成功! スマート物流実装への第1歩同実験では、試験管に入れた牛の乳房炎の検体(乳汁)48本を箱詰めし、エアロネクストの物流専用ドローンに搭載。ノベルズ上士幌本社敷地内で20分間(約3km)の飛行を2回行った後、検体をセイノーHDのトラックに積み替えてノベルズ研究所帯広センターまで配送しました。届けられた検体は、翌日に研究所にて検査されたとのことです。
結果、ドローン配送時の振動は、配送後の検査品質に影響しないレベルであり、実用に耐えうることが確認できました。また、配送後の検査品質も実用に耐えうるレベルであることが確認されています。
この実験の成功は、乳汁に限らず、血液や受精卵などの配送の課題が多い畜産業界全般において、ドローン配送を含むスマート物流実装の可能性を示す、大きな第1歩となりました。
成功のカギを握ったのは?今回の実証成功には、大きく2つの要素が貢献していると思われます。
そのひとつが、エアロネクストの重心制御技術「4D GRAVITY®︎」を搭載したドローンの活用。「4D GRAVITY®︎」は、ドローンの飛行姿勢や、動作に応じて重心位置を最適化させる一連の技術の総称です。
「4D GRAVITY®︎」を搭載したドローンは、飛行部(プロペラ・モーター・アーム)と搭載部(カメラ・荷物など)を物理的に切り離すことで、機体バランスの安定と従来にない動きを可能にするといいます。この技術により、配送時の振動を低減させたことで、品質を維持することができたのではないでしょうか。
もうひとつが、地上の物流とドローン物流を連携・一体化させるスマート物流の仕組み「SkyHub®」。この仕組みは、エアロネクストとセイノーHDが共同で開発を進めているものです。
「SkyHub®」を活用したサービスは、山梨県小菅村で実証を重ね、2021年11月に2つの配送サービスが同村にて本格始動。このサービス始動を発表した際、エアロネクスト・セイノーHDらと包括連携協定を締結している上士幌町でも、「SkyHub®」を活用した具体的な取り組みを行うことを示唆していました。
この「SkyHub®」に関するTechable(テッカブル)記事はこちらから。
PR TIMES
株式会社エアロネクスト
(文・Higuchi)