アリゾナ大学の研究チームは、紙の薄さかつ1円硬貨ほどの大きさしかない超薄型のワイヤレスデバイスを開発しました。同製品を活用することで、人間の骨をモニタリングできるようになる可能性があるといいます。
1円玉の大きさのデバイス骨の量(骨量)が減ることで骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気として知られている骨粗しょう症。これが原因となり、「特に怪我をしていないのに骨が折れてしまう」という脆弱性骨折は、特に高齢者に多いようです。
今回開発された「ワイヤレス骨デバイス」は、人間の骨の表面に装着することで、骨の状態を常時モニタリングすることができます。実用化までにはまだ時間はかかるようですが、将来的には健康状態を監視するだけでなく、健康状態を改善するためにも使用できる可能性があるとしています。
「筋骨格系の健康状態を監視できることは非常に重要です」と、同大学研究チームのPhilipp Gutruf氏は話します。筋肉は骨に非常に近く、頻繁に動くため、周囲の組織を刺激したり外れたりしないように、装着するワイヤレスデバイスは十分に薄くする必要があるとのこと。
このデバイスは1枚の紙と同じくらい薄い構造で、骨の湾曲に適合し、緊密なインターフェースを形成可能。さらにバッテリーを必要としない点も大きなメリットでしょう。同大学によると、スマートフォンの非接触型決済でも使用されているニアフィールド通信(NFC)と呼ばれる通信方法を使用しているといいます。
独自の接着剤を開発骨の外層は、皮膚と同じように時間が立つと「生まれ変わっていく」という性質があります。したがって、従来のように接着剤などを使用して骨にデバイスを取り付けると、わずか数か月で剥がれてしまうという課題がありました。
研究チームはこれに対処するため、カルシウム粒子を含み、骨細胞に類似した原子構造を持つ接着剤を開発。これは、骨表面の電子機器を骨に固定するために使用されます。
「骨は、デバイスがその一部であると認識し、センサー自体に侵食して成長していきます」とGutruf氏は言います。 これにより、骨とデバイスを永続的に結合し、長期間にわたって測定を行うことができるとのこと。
アリゾナ大学は、「ワイヤレス骨デバイス」で骨を綿密に監視することで、様々な側面で医療に貢献できるとしています。
UArizona Researchers Develop Ultra-Thin 'Computer on the Bone'
(文・Takeuchi)