代表的なスペースデブリ(宇宙ごみ)といえば、役目を終えた人工衛星やロケットなど。現在、地球周回軌道上にあるスペースデブリは、小さなものを合わせると何億個にもなると言われています。たとえサイズの小さなものであっても、人工衛星や宇宙ステーションなどに衝突すれば甚大な被害をもたらす可能性があり、今後数年間で数万の衛星が打ち上げられることを考えても、スペースデブリの除去は安全な宇宙開発に必要不可欠といえるでしょう。
そんなスペースデブリの除去などの軌道上サービスを開発しているのが、株式会社アストロスケールホールディングス。日本に本社を構え、シンガポール、英国、米国、イスラエルとグローバルに事業を展開しています。そしてこのたび、シリーズFでの第三者割当増資により約124億円の資金調達を実施。これにより、軌道上サービスの定常化に向け、事業を加速していく構えです。
スペースデブリを除去する方法は?アストロスケールのサービスのひとつに、打ち上げ前の衛星にドッキングメカニズムを備えることで、任務終了後や恒久故障の際に軌道からの取り外しが可能となる「EOL(End-of-Life)」があります。2021年8月には、デブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」の実証において、捕獲機(サービサー)が磁石を活用した捕獲機構による模擬デブリの捕獲に成功。現在、サービサーの自律制御機能による自動捕獲に向けて準備を進めているところです。
また、すでに軌道上にあるスペースデブリを除去するサービス「ADR(Active Debris Removal)」も提供中。2021年10月に、英国宇宙庁によるプログラムに選定され、同社が衛星2機の捕獲を目指すミッションを主導することが決まりました。
この他、宇宙空間上での宇宙状況把握「ISSA(In Situ Space Situational Awareness)」や、稼働衛星の寿命延長「LEX(Life Extension)」など軌道上サービスの実現を目指し技術開発を進めています。
約124億円を調達! 累計調達額約334億円にそんな同社が、THE FUND投資事業有限責任組合、日本グロースキャピタル投資法人、英国のセラフィム・スペースインベストメント・トラスト、フランスDNCAファイナンス傘下のDNCAインベストメント・ビヨンド・グローバル・リーダーズなど、国内外の投資家グループを引受先として、シリーズFにおいて過去最大額となる約124億円を調達。これにより、累計調達額は約334億円となりました。今後は、安全で費用対効果の高い軌道上サービスに関わる技術開発、日本、英国、米国における量産に向けた自社施設の拡張などを推進していくようです。
今回の資金調達にあたり、アストロスケール創業者兼CEOの岡田光信氏は「2030年までに軌道上サービスの定常化を目指す当社の計画を劇的に加速させることができます。また、これほどの資金調達を達成することができたのは、世界中の投資家が、宇宙の未来に革命をもたらす軌道上サービス市場に大きな可能性を見出していることの表れだと考えています」とコメントしました。
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株式会社アストロスケールホールディングス
(文・Higuchi)