ミシガン大学の研究チームは、Zoomで会話しているときに発生する「小さなラグ(時差)」の積み重ねがユーザーに大きなストレスを与えている可能性を指摘しました。
脳は対面での会話に慣れている私たちは、キャッチボールをするように会話をします。話者間の会話の速度は平均約0.2秒で、この一瞬の間に聞き手は話し手が言ったことを理解し、返す言葉を考え、そして「いつ割り込むことができるか」を予測します。
私たちの脳は、会話をスムーズにするためにこのようなプロセスの一部を自動化することができるといいます。研究チーム代表のBoland氏は「脳は会話のあいまいなリズムを処理するために、ある程度のラグを許容できます」と話します。
Zoomの「小さなラグ」がストレスに同大学の実験では、様々な質問に「はい」または「いいえ」のいずれかで、できるだけ早く回答するよう参加者に求めました。
研究チームは、リモート(Zoom)とローカル(自分のコンピュータ)からの質問に対して、回答までにかかった時間を比較。すると、ローカルでの応答の平均的な遅延時間は約0.29秒だったのに対し、リモートでの応答の平均遅延は約0.97秒だったといいます。私たちの脳は、会話のキャッチボールをスムーズにするため自動的に「ガイド」してくれる機能を持っていますが、Zoomの通信上のラグには同機能が対応できない可能性があるとのこと。
今回の実験は、人がZoomで小さいラグを感じることにより、脳の一部の機能が不安定になる可能性を発見しました。「これは、Zoomでの会話が実際に対面して行う会話よりも、私たちを疲れさせてしまう要因の1つです」とBoland氏はコメント。
私たちの脳がストレスを感じる理由は「ほんの小さなラグ」に対応するために、脳が自動化されていない認知メカニズムを使用する必要があるから。これにより、ビデオ会議は対面でのコミュニケーションと比べて少しぎこちなく感じてしまうというのです。ミシガン大学の研究チームは、今後も脳とコミュニケーションの関連を理解するため、研究を続けるとしています。
Zoom disrupts the rhythm of conversation
(文・Takeuchi)