NASAのイメージングX線偏光測定エクスプローラー(IXPE)ミッションは、フロリダ州にあるNASAのケネディ宇宙センターからSpaceXの「ファルコン9ロケット」の打ち上げにより開始されました。
ブラックホールなどの謎解明に向けてIXPEは、アメリカ航空宇宙局とイタリア宇宙機関の協力により開発されたX線観測衛星です。これは、ブラックホールなど「宇宙で最も神秘的な物体」からのX線の偏光を測定することを目的としたNASAの最初のミッションと言われています。
2021年12月9日、SpaceXの「ファルコン9ロケット」は期待どおりに機能し、飛行の33分後に宇宙船の分離が行われました。約1分後、宇宙船はソーラーアレイ(複数の太陽光発電パネル)を広げ、 IXPEは高度約372マイル(600 km)で地球の赤道の周りの軌道に入ったといいます。打ち上げから約40分後には、ミッションオペレーターは最初のテレメトリデータを受け取ったようです。
「何十年にもわたって取り組んできたものが現実のものになり、宇宙に打ち上げられるのを見るのは言葉では言い表せない気持ちです」と話すのは、アラバマ州ハンツビルにあるNASAマーシャル宇宙飛行センターのIXPE主任研究員Martin Weisskopf氏です。「これはIXPEの始まりに過ぎず、今後も私たちは多くの作業を進めていきます。しかし今夜、私たちは盛大に祝いたいと思います」。
偏光に敏感な宇宙望遠鏡IXPEは、特殊な偏光に敏感な検出器を備えた3つの宇宙望遠鏡を搭載しています。ここでいう「偏光」とは、光が発生する周辺の環境への手がかりを保持するという、光が持つ特別な性質を指しています。今回の新しいミッションは、NASAの主力X線望遠鏡であるチャンドラX線観測衛星を含めて構築されているとのこと。
IXPEの注目すべき点は、NASAだけではなく、イタリア宇宙機関、および他の12か国のパートナーやプロバイダー間の国際的なコラボレーションであるという点。具体的には、マーシャル宇宙飛行センターは3つのX線望遠鏡を作り、イタリア宇宙機関はIXPEの偏光検出器を提供したようです。
ワシントンのNASA本部の科学ミッション局の副管理者であるThomas Zurbuchen氏は「イタリアおよび世界中のパートナーと協力することで、今後何年にもわたって『宇宙の理解』を推進できるはず」とコメントしています。
NASA Launches New Mission to Explore Universe's Most Dramatic Objects
(文・Takeuchi)