ロボットと聞くと、ぎこちない動作を想像する人もいるでしょう。しかし、そうしたイメージを覆すようなロボットハンドをスタンフォード大学のエンジニアチームが開発しました。
なんと、「指」で卵やトマトなどをつかめる「FarmHand」です。やわらかいものをつかむには力の微妙な調整が必要ですが、ヤモリに着想を得たグリップによって実現しました。
均一な力加減ヤモリは壁や天井に張り付く能力を持っていますが、それは粘着質な手足のおかげです。スタンフォード大学のエンジニアチームはヤモリを参考にして、ロボットハンドが物をつかめるよう、4本の指先にエストラマーパッドを付けています。
FarmHandは物をつかむ際に、物に触れるパッドに均一に力をかけることができ、また「指」には関節もあります。これによりフラットでない物、そして壊れやすい物もつかむことができ、「握りつぶす」ことはありません。
バスケットボールもつかめるテストでは、ブドウや卵といったデリケートなものも潰さずに持つことができました。一方でバスケットボールのような大きくて思い球体も握って持ち上げることができたとのことです。
つまりFarmHandは、人間が無意識にこなしている「落とさないようしっかりと持つ」ことと、「ダメージを与えないようにそっと持つ」ことの両方をこなす能力を持っています。
開発チームは今後、FarmHandの改良を重ね、商業化も視野に入れているようです。たとえば収穫した果物の選果や箱詰めなど、名称にある通り農業分野はもちろん、その他の産業でも活用できそうです。
スタンフォード大学
(文・Mizoguchi)