近年、船員不足や船員一人当たりの負担増加が課題となっている国内旅客船。解決につながるものとして期待されているのが、無人運航船です。
そんななか、日本財団は1月11日(火)に小型観光船の無人運航による実証実験を横須賀市猿島にて実施。航行に成功したと発表しました。
小型観光船の無人運航による実証実験日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」は、2020年2月より5つのコンソーシアム(複数の民間企業体)と共同で、無人運航船の開発に取り組んできました。
今回、実証実験に成功したのは、5つのコンソーシアムのうちのひとつ「無人運航船@横須賀市猿島プロジェクト」。新三笠桟橋から猿島まで約1.7kmの距離を無人で運航しました。
本船は、画像解析による小型船の検出を目的としたカメラを3台と、GNSS(全球測位衛星システム)、AIS(船舶自動識別装置)などのさまざまなセンサーを設置し、自動で他船を避航。また、有人でも操船が困難とされる離桟や着桟時においても、無人での操船を実現しました。
本実証実験の成功が意味すること日本には約400の有人離島があるといいます。しかし、航路が朝夕の1日2便のみのところが多数あるなど、離島航路の維持も喫緊の課題であるのが現状です。さらに、海難事故の原因の約7割から8割は、ヒューマンエラーともいわれています。
本技術が小型船へ広く普及することで、船員の人手不足解消のほか、事故の減少、離島住民の生活を支える小型船舶への利用が期待されます。
また、無人運航船は、ICTやAI、画像解析技術をはじめ、日本が世界的に高いレベルを持つ技術を生かすことができる「未来の産業」としても研究・開発が進んでいます。
PR TIMES
日本財団「MEGURI2040プロジェクト」
(文・和泉ゆかり)