パイロットはかなりのプレッシャーがかかる職業であり、なかでも軍事に従事するパイロットは絶えず危険と隣り合わせで、瞬時の判断が命に直結します。
そうした極度の緊張を伴うなかで戦闘機を操縦するパイロットを安全面でサポートするAIアシスタントのプロトタイプを、軍需メーカーNorthrop Grummanが開発することになりました。米国防高等研究計画局(DARPA)からプロトタイプ開発契約を受注したと発表しました。
適応型で直感的なアシスタントセントラルフロリダ大学と共同で同社が開発するのは、拡張現実(AR)ヘッドセットに組み込まれるAIアシスタント。天候や時間帯、そのほかの環境要因が変化するなかで目視と計器で飛行するパイロットをサポートできる適応型の直感的アシスタントです。
回転翼航空機のパイロットが予想できるタスクに加え、予期せぬタスクの実行も支援します。
音声とグラフィックでパイロットのタスク実行を支援戦地では、とくに敵地で建物や人の近くを飛行する場合にリスクが大きくなります。敵のレーダーに入るというシーンもありますが、Northrop Grummanによると、そうした場合の一般的なパイロット支援ツールは高度をあげることを促す聴覚的な警告システムです。
しかしこの警告システムによりパイロットの注意が逸れて盲点が生じることが研究で明らかになっていることから、音声とグラフィックでパイロットをサポートするシステムを構築する、というのが今回のプログラムです。
具体的には、パイロットが装着したウェアラブルセンサーを通じて、パイロットが知覚するものを観察し、またパイロットが把握したことを理解できるようにして、ヘッドセットでフィードバックやガイダンスを提供します。
このプロトタイプの最終目標はパイロットのスキルセットを広げることであり、軍事作戦や訓練に伴う惨事をなくすのに貢献しそうです。
Northrop Grumman
(文・Mizoguchi)