沖電気工業株式会社(以下、OKI)は、航空管制官(以下、管制官)も航空管制運航情報官(以下、情報官)も現場に配置することなく運用できるリモート空港の実現を支援しています。
そしてこのたび、“リモートRADIO空港”運用のための「RVA-19型遠隔管制塔装置」を国土交通省航空局(以下、航空局)へ納入したことを発表しました。
管制官ではなく情報官を配置するRADIO空港空港を“飛行場管制”という視点で分類すると、TWR空港・RADIO空港・RAG空港の3つの分かれます。TWR空港は、東京(羽田)や関西など航空交通量の多い空港で、管制官による飛行場管制業務が実施されている空港のことです。
RADIO空港(レディオ空港)は、比較的航空交通量が少なく、管制官ではなく情報官を配置した空港。情報官は、飛行場管制業務ではなく、管制承認の伝達・滑走路の状況(滑走路上の障害物有無など)や空港周辺の交通情報の提供といった業務をこなします。
RAG空港(リモート空港)は、管制官も情報官も配置しておらず、空港内に設置されたカメラの映像をもとに情報官が遠隔で業務を行う空港です。
現在OKIが支援しているのは、RADIO空港のリモート化(リモートRADIO空港)。つまり、RADIO空港もRAG空港と同じく管制官・情報官を配置しない遠隔運用に切り替えようというのです。
リモートRADIO空港を実現する装置しかし、リモートRADIO空港の実現には課題が。RAG空港よりも航空交通量が多いRADIO空港の空港周辺状況を詳細に把握するのに、既存の機器では対応が困難だったのです。
そこでOKIは「RVA-19型遠隔管制塔装置」を開発。同装置は、空港に設置した固定カメラと可動カメラで空港および周辺状況を取得し、遠隔地へ伝送します。
固定カメラでは、リアルタイムで360度の映像を捉え、遠隔地でも管制塔と同等の視野を確保可能。可動カメラは、遠隔地からの制御も可能なため、現場の状況に合わせて映したい場所を捉えます。また、カメラで動体検出をした際は遠隔地の大型ディスプレイに表示し、可動カメラによる追尾・視認を促すとのことです。
さらに、遠隔地が災害などで被災した場合も空港を継続運用できるバックアップ体制も整えているといいます。
すべてのRADIO空港をリモート化へ航空局は、将来的にすべてのRADIO空港をリモートRADIO空港化することを検討しているようです。
その先がけとなったのが奄美空港。2021年10月1日から同装置を用いた奄美リモートRADIO運用が開始され、奄美空港および周辺を飛行する航空機に対する情報は那覇空港から遠隔により提供されています。
OKIは、同装置のさらなる技術開発を進めるとともに、RADIO空港のリモートRADIO化実現に向けて積極的に提案活動を行っていくとのこと。また、海外ですでに導入が始まっている遠隔管制塔への発展を見据え、航空管制業務のDXに寄与する取り組みをさらに加速していく構えです。
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神戸空港
(文・Higuchi)