チャージャーの上に置くだけでデバイスをチャージできるワイヤレス充電は便利です。
ただし、充電するためには端末がきっちりと充電スポットの上にこなければなりません。端末がスポットから外れていて、使おうと思ったら充電されていなかった……という経験がある人もいるのではないでしょうか。
そんなワイヤレス充電にありがちなトラブルをなくすことができそうな技術をフィンランドの大学が発表しました。シリンダー状のチャージャーで、その周囲にあるデバイスを向きなどに関係なくワイヤレス充電できるとしています。
特殊なコイル設計フィンランドのアールト大学の研究チームが開発した技術の中心的なものが、シリンダー状のトランスミッターです。トランスミッターから一定の範囲内であれば、デバイスの向きや置く角度に関係なく充電でき、しかも同時に複数台数の充電ができるとしています。
この技術を支えているのが、特殊なコイル設計です。コイル上部の電線とコイル下部の電線を逆向きに巻き、Z字型のブリッジでつないでいます。この巻いている電線にはそれぞれ電流が反対方向に流れるために、補強的な磁界ができます。
均一な磁場つまり、均一な磁場がトランスミッター周辺に作られ、その中にあるスマホやワイヤレスイヤホン、タブレットなどのワイヤレス充電対応デバイスを効率的に充電できる、としています。
また、ワイヤレス充電では人体への影響が懸念されますが、発表によるとこの装置は安全規制の要件を満たしているとのことです。
一家に1台欲しい!研究成果はこのほど専門誌に掲載されました。
現段階ではまだ商業化はまだ見えていないようですが、イメージ図にあるトランスミッターは家庭のテーブルに置けるサイズ。1人で複数のデバイスを所有するのが当たり前の時代、一家に1台あると便利そうです。
研究チームは今後、充電効率とパワーを向上させるのに取り組むと同時に、安全性についてさらに調査を行うとしています。
アールト大学
IEEE Transactions on Industrial Electronics
(文・Mizoguchi)