国立大学法人筑波大学(以下、筑波大学)と関彰商事株式会社(以下、セキショウ)は、2020年6月より地域社会の“ウェルビーイング”向上を目指して協働してきました。
そしてこのたび、「eスポーツで引き出すWell-beingに関する研究」において共同研究契約を締結。高齢者のウェルビーイング向上を目指し、22年2月~23年3月の期間で共同研究を実施します。
運動とeスポーツの相乗効果に期待同研究に際し、セキショウのグループ会社が運営する高齢者施設「デイサービスセンター楽フィット筑西」にて、約100名の利用者協力のもと約6か月間の科学的検証実験を実施中。利用者は、同施設が提供する運動指導(機能訓練)に加えeスポーツを体験します。
運動とeスポーツを併用することで、高齢者の心身においてどのような相乗効果を生むのか……。この検証でポジティブな効果を確認できれば、高齢者における新たなウェルビーイング方策として運動とeスポーツの同時実施を社会実装するための基礎データになるものと期待されているようです。
セキショウは、同研究の成果に基づき、運動機能・認知機能・社会的機能を改善する「運動とeスポーツを組み合わせたプログラム」を開発するとしています。
なぜ、eスポーツなのか?近年、高齢者の運動不足や社会的孤独が健康リスクという観点からも課題となっています。
そこで注目したいのがスポーツや武道。これらには、社会的つながりを育むホルモン「オキシトシン」や、運動器系機能・認知機能・自信を高めるホルモン「テストステロン」の分泌を高める効果があるとされていて、運動不足と社会的孤独などを一気に解消できる可能性があります。
しかし、高齢者にとってスポーツや武道は体力面でのハードルが高いでしょう。そこで注目されたのが、競技性や遊戯性はもとより、体力レベルに依存しないバリアフリーな“eスポーツ”というわけです。
筑波大学によると、eスポーツもまた「オキシトシン」や「テストステロン」の分泌を高めるとのこと。しかし、eスポーツだけでは“運動不足”の解消には少し不安が残るかもしれません。そこで(適度な)運動とeスポーツを組み合わせることで、運動不足や社会的孤独の解消を目指すということでしょう。
eスポーツを活用した、高齢者向けの取り組み若者の間で盛り上がりを見せているeスポーツですが、国内ではすでに高齢者向けの活用法が検討されています。
たとえば、神戸市・NTT西日本・株式会社PACkageの3者は、バイタルデータの分析などを通じて、eスポーツによるコミュニケーション活性化や健康増進効果を検証。3者は、“フレイル”の予防に資するeスポーツを活用した新しいコミュニケーションツールの開発を目指しているとしていました(詳しくはこちら)。
また、株式会社サイバードと国立大学法人秋田大学らは「高齢者を対象としたesports実施時の心理・体調変化推定法の開発と解析」の共同研究もその一例。ヒューマンセンシング技術を用いて、eスポーツによる心身へのポジティブな影響を可視化するとしていました(詳しくはこちら)。
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(文・Higuchi)