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深刻な“電力不足”、今冬さらに悪化する可能性。背景には再エネシステムの弱点も

Techable 2022年7月8日 11時0分

三井住友DSアセットマネジメント株式会社は、マーケットレポート「空梅雨と猛暑で深刻化する『電力不足』」を7月7日(木)に発行しました。

「需給ひっ迫注意報」発令

経済産業省は6月26日、東京電力管内に「需給ひっ迫注意報」を発令。この注意報は、電力需要に対する供給の余力を示す“予備率”が5%を切る場合に出されます。

今回は、予備率の見込みが27日の16時~16時30分で4.7%、同16時30分~17時で3.7%となったために発令されました。

この状況に対し、停止していた火力発電所を急ぎ再稼働させたこともあり、注意報は6月30日にひとまず解除されています。

電力不足の背景には太陽光発電の弱点も

電力不足の背景には、記録的な空梅雨や猛暑による冷房需要の急増がありますが、近年拡大している再エネ発電(太陽光発電)の弱点ともいえる仕組みも関係しているようです。

現在、東京電力管内の太陽光発電の能力は約1300万キロワット。ピーク時の電力需要は約5000万キロワットとされており、電力需要の約4分の1を太陽光だけでまかなえる状況だといいます。

しかし、太陽光の発電出力は正午にピークを迎え、ゼロになる日没まで低下し続けるとか。ところが、最近では夕方に暑さが残ることも多く、発電出力が低下するなかでも需要は高止まりするため、電力不足に陥るということです。

今冬さらに深刻化する可能性

このたびの注意報発令などでにわかにクローズアップされた電力不足ですが、近年はむしろ冬場のほうが厳しい状態だといいます。

経産省によれば、今冬の東京電力管内の予備率は、来年1月に▲0.6%、2月には▲0.5%まで低下する見込みがあるようです(10年に1度の厳寒を想定した場合)。

そうなった場合は、計画停電が実施される可能性もあり、オフィス・工場・インフラなどが一時稼働停止に追い込まれるといったことも考えられます。

太陽光発電への投資・新型原子炉開発……

足元の電力不足には、火力発電所の再稼働で対応していますが、再エネシフトが続くなかで大規模な火力発電所を増設するのは難しいでしょう。

となると、先述した太陽光発電の弱点を補完する蓄電システムや省エネ技術への投資、既存原発の再稼働や安全性に優れる新型原子炉の新設などが必要になりそうです。

太陽光発電については、株式会社アクシスが提供する遠隔監視システム「Solar Plants Viewer(SPV)」など、効率化を推進するソリューションもあります。

しかし、まずは私たち一人ひとりの節電意識が重要。経産省は、熱中症にならないように冷房を活用しつつ、照明の間引きや使っていない機器の電源を切るなど協力を呼びかけています。

PR TIMES(1)(2)
経済産業省

(文・Higuchi)

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