Infoseek 楽天

コロナで増えるコンタクトセンター業務の在宅化、場所に捉われることなく全体を見える化するにはどうする?

Techable 2023年3月29日 16時30分

本記事は、ARアドバンストテクノロジ株式会社の武居正子氏によりご寄稿いただいたものです。

コロナ前後で変わったコンタクトセンター業界の運営課題

コンタクトセンター業界のセンター運営課題は、コロナ禍前後のここ数年で変化しています。

これまでコンタクトセンター運営においては、「センターにつながってからオペレータにつながるまでの時間」や「1件あたりの処理時間(CPH)」といった、顧客体験(CX)や生産性をどのように高めるかが重要視されていました。

そのため、「つながりやすさ」や「応答率」といったKPIを元に、業務の効率化や標準化、そして平準化をどう進めていくかといったオペレーションマネジメントが運営管理側の業務の中心でした。

ところが、コロナ禍以降の運営課題は、オペレータの「採用・育成」や「定着率向上」といった「人と組織」にシフトしていきました。

下記は、コールセンタージャパン編集部にて、2003年から毎年国内200社以上の運営企業、SVやリーダー、BPOベンダーや自治体を対象に、「センター運営における課題にはどんな内容があるのか?」という調査を実施した結果です。

昨年の調査から大きく変動したものは、「オペレータの採用・育成」で、昨年35.2%から55.2%と急増していることが分かります。全体的には、採用難・人手不足を反映した結果となっています。

コロナの影響による在宅シフトとITソリューション

「人と組織」にシフトしている主な要因のひとつには、在宅対応の増加が挙げられます。

コロナ禍の影響により、通勤が難しい状況や3密を回避するために、センターへの出社人数を制限する必要が生じました。

そのような背景から、多くの企業やセンターが、在宅対応を検討し、ITソリューションを導入するようになりました。

しかし、在宅シフトすることと実際に在宅で適切に業務ができているかは全くの別問題です。

下記は、同じくコールセンタージャパン編集部が2022年に実施した調査において、「センターの在宅運営における課題はどんな内容なのか。」という設問に対しての回答となります。

「情報セキュリティの確保」に続いて多いのが、「エスカレーション(転送)や手上げ対応ができない/難しい」や「スタッフのメンタルケア」などの課題でした。

センター運営の管理者は、ITインフラ面を整備するだけではなく、働く人たちの環境の変化を踏まえ、マネジメントや育成などの仕方も同時に変化させていくことが求められています。

センターのあるある課題(オペレータ達の悩み)と離職防止の取り組み

ここでは、コンタクトセンターで、よくあるオペレータの悩みの一部をご紹介しましょう。

たとえば、このような内容があります。

・業務知識や使用するシステムなど、覚えることが多すぎる
・お客さまからの厳しいコメントなど、クレーム処理に心が折れる
・ノルマがきつい(セールス系のセンターに多い)
・上長によって言っていることが違う
・キャリアアップするためのスキルが身につかない
・研修や上長らからのサポートが不足している

これらはコンタクトセンターに限らない悩みかも知れません。

しかし、このような悩みが徐々にオペレータのモチベーションの低下につながり、さらにはメンタルや体調不良、結果的に離職となるケースもあります。

センターで日々奮闘している管理者らは、そういった場面を幾度も経験しているからこそ、離職予防策として、様々な取り組みを試みています。

下記は、コールセンタージャパン編集部にて、2022年の調査結果となり、コンタクトセンター運営におけるマネジメント関連での調査結果です。

設問は、「実施中の離職予防の取り組み」と「今後実施予定の離職予防施策」の2つです。いずれも、「教育」「評価」「キャリア支援」の3つが、離職予防の大きなポイントになりそうだということが分かります。

多忙を極める管理者らにとって、人的なフォローに十分な時間を割くことは容易ではありません。

センター全体やチームの果たすべき定量成果を死守しながら、最適かつオペレータに寄り添った手厚い組織マネジメントを両立させるためには、どうすればよいのか。

より具体的で、実行可能な仕組みと仕掛けが求められていると言えます。

「場所に捉われない」センター運営で生じる問題の解決方法

コンタクトセンター運営の最適化には、テクノロジーや人のどちらかに依存するのではなく「人とテクノロジーの共存・融合」がポイントです。

たとえば、リアルタイムでのオペレータの稼働状況把握はどうするのか。

弊社が開発・提供しているクラウド型コンタクトセンター分析管理システム「Mieta」の導入により、一挙に解決できます。

例を挙げると、

・従来のシートマップに近い機能である「エージェントスコープ」により、リアルタイムでの稼働状況の可視化ができます。本来のユーザーであるオペレータや管理者が重視しているKPI指標を即座に確認できます。

・リアルタイムの稼働状況を「ダッシュボード」で各種レポートの集合体として見ることができます。複数ダイヤル一覧やグラフでの視覚化、さらには色別などで可視化できるため、センターの状況把握が一画面かつ瞬時に可能となります。

クラウドベースのコンタクトセンター「Mieta」を使用する現場の声には以下のようなものがあります。

・管理者のTさん
「稼働状況を瞬時にキャッチアップできるようになった!」
「全体のパフォーマンスを俯瞰でき、バランスや深堀する必要のある要因を見つけ出せる」
「データ加工が不要なので、自分たち管理者の大幅な負荷軽減となった」

・オペレータのIさん
「チームメンバーの稼働状況が瞬時に分かるので、フォローし合えるようになった。なので、今だったらトイレに行っても大丈夫みたいな声掛けもできるようになった(笑)」

このように、個々の状況把握をシステムに任せることで、管理者は人に寄り添う部分への時間を確保できます。

その時間を使って一人ひとりのオペレータへのサポートや育成などが可能になります。このような取り組みが従業員体験価値(EX)の向上につながるひとつの成功パターンと言えます。

<運用マネジメントの課題と対応策>

顧客体験価値(CX)向上の実現には、サービスを提供する従業員の協力が不可欠です。

従業員の「働き甲斐」「目指す姿」などが明確になることで、全員が同じ方向に向かって前進でき、さらにはチームとしての結束力も強まることは確信できます。

<著者プロフィール>

武居正子
ARアドバンストテクノロジ株式会社

インハウスセンターで運用を10年間従事。以降、コンタクトセンター専門のコンサル会社にて、新規センターの立ち上げから運用体制構築、業務・品質改善、人財育成などの幅広い領域でのコンサルタントとして従事。CC業界には、通算30年以上の経験を持つ。2020年1月よりARアドバンストテクノロジにて現職。コンタクトセンターに関わる業務改善を中心としたコンサルティング、さらにコンタクトセンター向けのソリューションMietaの企画や設計、マーケティングを担当。

この記事の関連ニュース