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調子は良いのに仕事が上手くいかない…。Smart相談室CEOが語る、コーチングのススメ。コーチングを受ける際のポイントとは?

Techable 2023年4月5日 16時30分

変化し続ける社会環境に対応するために自らを成長させ、より良く変化する必要を日々、感じている方は多いのではないでしょうか。

そんな中で、どのようなことを実践すると目標にたどり着けるのかをプロに相談し、指導・アドバイスを求める「コーチング」に注目が集まっていますが、実際にはどんなものなのでしょうか……?

コーチングのプロによるセッションを受けることができる法人向けオンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」を提供する、株式会社Smart相談室 代表取締役の藤田康男氏に「コーチング」について解説していただきました。

コーチングのポイント

株式会社Smart相談室 代表取締役の藤田康男です。

何かの記事を書く時に、冒頭部分はその概要や社会的背景などの説明、事実確認を行います。今回のテーマの場合、「コーチングとは何か?」「コーチングの概要とは?」などの章を始めに持ってくることが一般的かもしれません。

最近はコーチングの概要に関することや、ティーチングなど他のアプローチとの違いなどについて情報が多く発信されていますから、一般論については他の記事に譲ることにして、ここでは、私が思うコーチングを理解するための3つポイントからお伝えします。

ポイント1:コーチングは多種多様である

コーチングは手法なので、誰でもできるし、誰がやっても良く、適応場面も多いものです。定義は人によってバラバラ。目を細めてぼんやり包括的に見れば、それぞれの定義が大まかに一致するといった感じです。

個人的な意見ですが、私は「コーチング」という言葉が現代の日本社会にマッチしていないから、さまざまな定義が存在してしまっていると感じています。例えば「ブラック企業」や「ガクチカ」、「斜め上を行く」などのように、実態を反映した新しい言葉の誕生を切望しています。

ポイント2:想像されるスタイルは3つ

クライアントにコーチが支援を行うことを前提として、「コーチング」という言葉から想像されるスタイルを3つ紹介します。

①専門家スタイル
クライアントがお金を払って専門家から教えてもらう、またはコーチングをしてもらうスタイルで、決定権や選択権が専門家にあるスタイルです。広義では、教師やスポーツのコーチなどが当てはまります。

②医療スタイル
このスタイルでは、医師(コーチ)はいろいろと患者(クライアント)に物申しますが、最終的な決定権や行動の選択権はクライアントにあります。しかしながら、疾患・治療・手術・予後などに関する情報の非対称が大きく、大きいがゆえに①を彷彿とさせます。情報の非対称性が低ければ、そもそも、今回のコーチングの議論には載りません。

③プロセス共有スタイル
専門家とクライアントがプロセスを共有しながら、課題に取り組むスタイルです。プロセスの共有とは、同じ時間の流れの中で、話をしたり、行動したり、さまざまなことをします。これから詳しくお話しするコーチングはこのスタイルに該当します。両者の関係性は、時間を共にする間に関してはフラットです。料金は、クライアントが支払い、その結果についてはすべてクライアントが責任を持ちます。

*上記の内容は、『コーチングのすべて――その成り立ち・流派・理論から実践の指針まで』(ジョセフ・ オコナー【著】、アンドレア・ラゲス【著】)に詳しく書かれていますので、ご参照ください。

ポイント3:多様であるから資格が作られた

1つ目と2つ目のポイントからわかるように、さまざまな要素があるために、コーチングという言葉を耳にした際に人がイメージするものの幅が広く、かつてはトラブルを招くことがあったようです。

その結果、一定の定義に基づいたコーチングの実施に向けた資格認定の動きがアメリカで生まれました。その1つに、トーマス・レナードが設立した、国際コーチ連盟(International Coaching Federation 以下、ICF)という機関があります。

このICFが認定する資格が、いわゆるコーチングの資格として広く認知されています。一方、その他にもさまざまな資格認定機関があり、必ずしもICFによる認定がすべてでないことはご承知ください。

ICFの資格を持っていることをアピールするコーチも多く、Smart相談室でもコーチを採用する際にICF認定の有無も確認しています。

ただ、ICFの資格取得には、ICFが認めた育成機関で学ぶことが必須であるものの、国内に認定機関は10法人ほどしかありません。

そして、それぞれの育成機関によって方針や、教材などのマテリアル、固有名詞などの使用する言葉、育成方法、さらには学習時間などが統一されておらず、各学校の個性がとても強く出ています。

これはあくまでも個人の意見ですが、同じICF認定の資格を持っているコーチであっても、この育成機関の個性が影響を大きく与えていて、コーチング手法やクライアントとの接し方に現れるようです。

真面目にやっているけど上手くいない時にはコーチング

巷ではコーチングが流行っているようで、Smart相談室でもコーチング利用が増えています。

なぜ今コーチングが流行っているのでしょうか。もちろんメディアで取り上げられることが増えた影響も大きいはずですが、私は「日本社会の調子が悪いから」だと考えてます。日本経済、ではなく日本社会です。この意味合いは、少し変わったロジックですので、続けて解説します。

Smart相談室は、「1企業のうち20%の従業員が活用している」という事例もあるサービスですから、ご相談内容は多岐にわたります。メンタル不調に関することが多く含まれるかもしれませんが、実際にはそればかりではありません(詳細は、2023年の2月に寄稿した記事をご確認ください)。

メンタル不調に陥らずとも、皆さん真面目に生活をされていて、当然自分がやるべきことをやっているのに上手くいかないと悩んでいらっしゃる方が多いのです。

これはいったいどういうことなのかと漠然と考えていた際に、私の父の「最近の高校生は大変よ。簿記ができて、成績優秀で内定を沢山もらっても、就職したら面白くないだろうからなぁ」という言葉に、はたと気が付いたのです。

父が言うには、今の高校生は就職後、これまで普通に求められていたことが上手くできたとしても、日本経済全体が成長できていないので、組織の成長や貢献を実感できない。

また、人手不足で内定は沢山もらえるし、入社後に転職もできる。プライベートでも、親世代が期待するような昇進や出世には惹かれないが、かといって大きな野望もない人が多い。その結果、公私共に「もっと何かできるのではないか?」と感じてしまうのだ、というのです。

あくまでも、n=1の定性情報なのですが、私は直感的に「今の日本社会全体に言えることではないか?」と感じました。

つまり、外部環境が停滞している中で、自分が成長している、成長したいと思った際に、自分と組織の間にギャップが生じている。

自分の調子が悪ければ、お医者さんに診てもらえば良いが、調子は良い。この状況を会社には言いにくく、成長したい分野と現在の会社での仕事がリンクしないかもしれない。このような状況で、自らと向き合い、一歩を踏み出すためにコーチングを欲しているのではないでしょうか。

実際に18名のコーチからコーチング導入セッションを受けてみた

私自身、20代の頃に企業の福利厚生でコーチングを受けた経験があります。一時期は、自費で同じコーチに伴走していただいたこともありました。

当時のこの経験がなかったら、ターニングポイントとなる意思決定ができず、今の人生はなかったと思います。

逆に言うと、何かきっかけがなければ、コーチングは受けなかったでしょうし、受けようと思っても、実際に受けて、実践することはハードルが高く、強い意思が必要でしょう。

コーチングセッションへの参加をためらう方の背中を少しでも押すことができればと思い、私が20名弱のコーチの方と導入セッションを行った際のデータ(*下記参照)をもとに、感じたことを箇条書きにします。

・保有資格ACC※1とPCC※2で料金が異なる傾向
・1時間当たりの費用は、ACC1万円、PCC1.5万円がそれぞれ最頻値
・同一資格でも、コーチの年齢による料金の差異はあまりない
・多くのコーチは事前にクライアントである私のことを調べていない(もしくは知らないフリをしている)様子
・性格が悪そうな人はおらず、明確にこのコーチは合うだろうなという方が4名いた
・忙しいコーチが多く、スケジュール調整が難しい
・事前のやり取りでは、「忙しくてすぐにコーチングを開始できない」と聞いていたが、導入セッション後「調整できたのですぐに始められる」という方が多かった
・初対面なので当然だが、緊張されているコーチが多い印象
・全コーチ同じテーマで進めたが、深堀りや解釈の確認など、コーチによってポイントがバラバラで興味深かった
・コーチングの進め方や使われる単語に共通点があり、恐らく育成機関が同じと思われるコーチが何名かいた
・序盤のゴール設定や最終的なラップアップなどは、スキルの差と感じられた

*実際のデータ(全員女性)
※1ACC:ICFが提供する、経験を積んだコーチのための資格。
※2PCC:ICFが提供する、国際的に認められた実績豊かなコーチの資格。ACCの一段階上の資格。

コーチングを受ける際は、ここに気を付けよう!

実際にコーチングを受けてみた経験から、個人的にここに気を付けたほうが良いという点をまとめます。コーチングの時間を有効に活用し、自分の成長につながるコーチングを受けるために心がけるべきことですので、ぜひ、試してみてください。

とにかく相性の良いコーチに出会おう

コーチも人ですから、相性があると思います。もちろん嫌な人や、ムカつく人はいませんでしたが、細かい部分で自分に合う・合わない、好き・嫌いを感じることはあります。

まずは直感で良いので、自分が「この人ならOK!」という人を探しましょう。コーチの方々は、トライアルのような時間を作ってくれますので、その時間でご自身の気持ちを見つめてみてください。このコーチなら納得して付き合っていけるのか、他の方にお願いしたほうが良いのか…。

私の場合は、時期を同じくして多くのコーチに会いましたが、その中で相性が合うと思ったのは、18人中4名でした。「4名に出会うために、18人の方にお会いした」とも言えるかもしれません。

自分が合わないと思ったら気にせずに断って良いということです。それは「良い、悪い」ではなく、「合う、合わない」ですし、コーチもクライアント自身に「合う」と思ってもらったほうが良いと考えています。断ることを気にする必要はありません。私は17人をお断りしていますから...。

もう一点、断って良い理由は、「今、合わない」だけで、しばらくして「あのコーチどうしているかな?」と思い出し、あらためてセッションを受ける可能性があるからです。

その状況に立ち会えることはコーチとしては非常に嬉しいはずです。数年後のために、ご縁があったと考えることができます。コーチはクライアントの可能性を信じ、クライアントが必要と思う時に支援してくれるはずです。

ということで、「違う」と思ったら、どんどん断りましょう!

Smart相談室では、さまざまな属性のコーチを選択してコーチングを受けられ、回数も自由に設定できます。はじめてコーチングを受けてみようと思われる方は、複数のコーチの方に1回ずつ申し込めば、どのようなコーチが今の自分に合っているのかわかると思います。

フラットな関係を作ろう

仮にコーチングが始まったら、コーチとフラットな関係を作りましょう。お互い、対等な関係でやり取り、発言ができることで、これまで気付かなかった自分に気付き、ひとりではできなかったことが、コーチとならできるようになります。

自分が遠慮していると思ったら、その旨をコーチに伝えて、遠慮しなくて良いか許可を取りましょう。コーチは遠慮しなくて良い、と言うはずです。

関係性に違和感があったら、必ず口に出してコーチに伝えましょう。そうすることで、関係性をリセットして、フラットな関係になれます。これは、コーチが自分に遠慮していると感じた際も同じです。

Smart相談室のコーチは、さまざまな相談者とのセッションを経験しており、よりフラットな関係作りが上手な方々です。時間に身を任せても、ご自身から気持ちをどんどん伝えても、それぞれ上手くいくでしょう。

嫌なことに対応しよう

コーチングセッションを重ねていくと、今まで自分が触れたくなかったことに遭遇します。辛い、逃げたい、考えたくない、そんなネガティブな感情が沸き起こっていきます。

そんな時は、そのトピックを扱いたくなければ、正直にコーチに伝える。その感情にフォーカスしたいのであれば、一緒に伴走してもらうのも良いでしょう。

気を付けなければならないのは、ご自身の心理的状況についてしっかりとコーチに伝えることです。もしかするとそのような時は、話を進めることを止めたほうが良いと考えるコーチもいるかもしれません。

ネガティブな感情への対応については、コーチもさまざまな判断をされるようです。まずはネガティブな気持ちに対応し、ご自身がどうしたいかをコーチに伝えてみてください。

Smart相談室では、さまざまな相談に対応しています。ネガティブな感情に関しても、どんどんご相談いただき、一緒に次のステップを模索できればと考えております。

沈黙を楽しもう

コーチングセッションを行っていると、さまざまな理由から声が出なくなることがあります。コーチングの旅は、通常の思考やマインドではない状態へあなたを連れて行ってくれますので、これまでにない体験をします。

その結果、発言できない、発言がない状態になるのです。この沈黙を楽しんでください。無理に沈黙を破る必要はありません。

コーチは、沈黙を楽しんでいます。沈黙の先に何があるのだろうか?沈黙の先にクライアントの新しい世界、気付きがあるのではないか?そんなことを思案しながら、あなたと同じ思考を体験しています。

沈黙の長短に優劣はありませんが、長く沈黙することは悪いことではありません。沈黙で1回のセッションが終わっても良いです。その沈黙は、コーチング上、あなたにとって必要なものです。

Smart相談室では、そのセッション時間は相談者様のためのものと考えています。とことん相談者さんに寄り添い、ます。必要であれば、何度でもセッションを行います。

より多くの方の生産性を上げ、日本全体の生産性を上げることはSmart相談室のミッションです。

<著者プロフィール>

藤田康男
株式会社Smart相談室
代表取締役

医療系人材紹介会社にて10年間、複数事業の立ち上げや組織マネジメントに従事したのち、2021年2月に株式会社Smart相談室を設立。
これまでのマネージメント経験から、従業員のメンタル不調に関して課題感を持ち、独自の視点から、課題に対するソリューション「Smart相談室」を提供中。日本の生産性を高め、社会に貢献したいと考えている。

Smart相談室:https://smart-sou.co.jp/
Twitter:https://twitter.com/Yasuo_chan

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