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蓄電池にエネルギーを貯めて海上輸送。電気運搬船の初号船「X」の設計が公開

Techable 2023年6月6日 8時0分

電気運搬船は、海を越えて新しい送電ネットワークを構築し、再生可能エネルギーの貯蔵・供給・利用を推進する船舶です。将来的には、電池のエネルギー密度がさらに上昇し、コストが低減することで、洋上風力発電所から陸地といった、より長距離の海上送電が可能となる見通しです。

そんな中、株式会社パワーエックス(以下、パワーエックス)は、電気で動き、搭載した蓄電池で電力を海上輸送する、電気運搬船の初号船「X(船名)」の詳細設計を発表しました。

「X」は、2025年に完成予定で、2026年より国内外で実証実験を行うことが計画されています。

船舶用電池を96個搭載

「X」は、船長140メートルの電気推進船。蓄電池はパワーエックスの独自設計で、リン酸鉄リチウムイオン (LFP) 電池セルを使用し、6,000サイクル以上の長寿命を実現します。

ミッションに応じて搭載する電池を増やすことで、より大きなサイズの電気運搬船をつくることも可能とのこと。

さらに、専用のガス排出機能・消火装置を備え、バッテリーシステムや充電コントローラー、電力変換システムなどをリアルタイムにモニタリングすることで、安全性を担保しています。

船が搭載するコンテナ型船舶用電池は96個。容量は合計241MWhです。

北海道の電気を輸送

日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入に取り組んでいますが、再生可能エネルギーの大規模導入に伴い、余剰電力の発生や電力供給の安定性の確保が課題となっています。

例えば北海道は、再生可能エネルギーを生み出すポテンシャルが高い地域とされています。しかし、北海道自身の電力需要が少なく、北海道から本州に向かって送電するためのインフラが弱いため、将来的に再生可能エネルギーの増加に対して送電能力が追い付かなくなる可能性が指摘されています。

この対処方法として活用が期待されているのが電気運搬船。

余剰電力を電気運搬船の電池に貯めておき、港周辺の停止・廃炉予定の火力発電所などの系統設備から放電し、陸上送電網を経由して、電力需要家へ送電することで、再生可能エネルギーのさらなる有効利用が可能となります。

参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000109041.html

公式サイト:https://oceanpowergrid.jp/

(文・S.Inosita)

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