各地で気象災害が甚大化している昨今、河川氾濫などの被害が繰り返し起こっており、各自治体・行政側の対策として、より高度な情報管理と過去情報を用いた備えが重要視されています。
そんな中、株式会社Spectee(以下、スペクティ)と一般財団法人リモート・センシング技術センター(以下、RESTEC)は、衛星データとSNS情報から、災害時の浸水状況を3Dで再現しました。
なお、この取り組みは、デジタル庁「デジタルツイン構築に関する調査研究」事業として行われたものです。
人工衛星やSNSからの浸水情報を3D都市モデルへ今回の取り組みで活用したのは、衛星データやSNSから得られた浸水情報を、地形や建物と組み合わせて3D化するシステム。スペクティがSNSデータの解析および空間IDへの対応を、RESTECが空間IDを活用した防災ユースケースの開発および衛星データの解析を担当しました。
浸水情報は空間ID単位で管理・ベクトルタイル化。国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの設備・オープンデータ「Plateau」の建物情報と組み合わせて3D表示することで、どの建物が何㎝程度、浸水しているのかを把握できます。
また、オープンソースの3D地理空間可視化プラットフォーム「Cesium」と、3D表示ソフト「Photorealistic3D」を組み合わせて使用し、高精細で快適な表示環境を実現しています。
2019年8月豪雨に伴う佐賀県の浸水状況を再現今回は、佐賀県庁協力のもと、六角川流域市町を対象に、2019年8月豪雨に伴う浸水状況を再現しました。
再現した浸水状況(図1)を、実際に国土交通省が公開した当時の浸水被害の写真(図2)と比較すると、被害状況の高い再現性・視認性が確認できます。
ただし、図1は、図2と同時刻の結果を表したものではありません。
衛星データ×SNS情報×3Dモデルの可能性広域網羅性を持つ衛星データと即時性を持つSNS情報を掛け合わせた高精度な浸水情報を3D化することで、被災状況の把握や振り返り情報として、より効果的な利用が可能となります。
例えば、被災者に自治体が発行する罹災証明発行までの時間短縮など、自治体業務の効率化による市民サービスの向上につながる可能性があるようです。
また、将来的により高度なデジタルツイン技術を取り入れることで、リアルタイム性の高い避難誘導、救命活動の支援などに利用できると、期待が高まっています。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000143.000016808.html
(文・Higuchi)