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電気のみで推進するバイオマス輸送船「あすか」就航。CO2排出量削減、船員の労務負荷軽減を実現

Techable 2023年7月23日 6時0分

持続可能な内航海運への突破口を開くことを目指し、e5ラボとMarindowsは共同で完全電気推進バイオマス輸送船「あすか」を就航させました。

内航貨物船としては隻数が多い499トンタイプの同船は、海運業界が直面する環境問題・熟練船員不足問題という2つの難題を解決するために開発されたものです。

完全に電気のみで推進するEV船「あすか」

「あすか」は、2基のモーターを駆動力として完全に電気のみで推進するEV船で、大容量蓄電池と発電機を搭載。これにより入出港および荷役中のゼロエミッション(*1)を可能にし、特に港湾のCNP(カーボンニュートラルポート)に貢献します。

CO2排出だけでなく、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)そして港湾周辺にて近年問題となっている煤煙や騒音、振動の排出をなくすことで周辺地域の居住環境を大幅に向上し、“快適な周辺地域環境保護”という脱炭素のさらに先の価値を提供します。

この環境配慮型の取り組みは、温暖化問題とともに社会全体での課題となっている地域環境保護の一環として、必要不可欠なソリューションとなるでしょう。

ゼロエミッション*1…国連大学が提唱した「廃棄物の排出(エミッション)をゼロにする」という考え方

第二世代EV化技術によって小型化・高効率を実現

e5ラボは、共創パートナーである三菱造船と共同で、「あすか」船全体の開発とEVパワートレイン(*2)のインテグレーションを担当しました。

三菱造船が開発したEV専用新型船型は既存船比20%以上の効率向上を実現。さらに、第二世代EVパワートレインの採用により、第一世代EVパワートレイン比でサイズと重量を80%削減し、同時に10%以上の効率向上を達成しました。

第二世代EVパワートレインと発電機の最適な組み合わせによって、「あすか」はEV船の課題であった速力と航続距離の課題を解決し、既存船と同等以上の11.8ノットの速力、2,700マイルの航続距離を実現。同時に、EVパワートレインのモジュール化によって20%以上、コストを低減しました。

パワートレイン*2…タイヤを駆動させるために必要な部品

出入港作業を自動化する船舶自動化支援システム

Marindowsは、乗組員と陸上スタッフの省力化・省スキル化と安全性・効率性向上を目指し、先進的な船舶自動化支援システムを実装しました。

同システムは、船舶運航の各面、特に事故が多く熟練船員を必要とする出入港作業を自動化・省人化・省スキル化し、さらに遠隔監視を可能にするもの。

最も人手が必要となる離着桟作業をこれまでの5名から3名まで削減(運航は4名)し、さらに安全性と効率性の向上を実現します。

乗組員の労働環境改善・地球環境保全に取り組む

「あすか」に搭載されたEVパワートレインと自動化支援システムは、バッテリーの増設や運航解析と制御プログラム修正といったアップデートによって港湾内ゼロエミッションだけでなく運航全体のさらなるエミッション削減も可能にします。

e5ラボとMarindowsは、先進的船舶の開発・導入を通じて乗組員の労働環境改善と地球環境保全に取り組むとともに、より安全で質の高い輸送サービスを提供することで、持続的に成長する内航海運の実現へ挑戦する方針です。

参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000079836.html

(文・Hauka Isobe)

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