プラスチックカード不要でMastercardブランドのカード番号が発行される、法人向けクレジットカード「VCN(バーチャル・クレジット・ナンバー)」。
カード番号ごとに利用条件の設定やデータ管理ができるため、高いセキュリティでのクレジットカード払いを導入できるのが魅力だ。不正利用のリスクや、経費精算の手間に悩む企業にとって利便性の高い決済手段として注目されている。
このたびMastercardは、オリエンタルホテル・ホテル オリエンタル エクスプレスにて、国内のホテル向けMastercardバーチャルカード番号(以下、VCN)による法人決済の試験運用を開始することを発表した。
この試験運用には、Agoda(本社:シンガポール、設立年:2005年)、株式会社ホテルマネージメントジャパン(本社:東京都渋谷区、設立年:2005年)、NETSTARS(本社:東京都中央区、設立年:2009年)、Worldpay(本社:米国)が協力。VCNの試験運用により、業務効率の大幅な改善、リスク管理対策の強化を目指していく構えだ。
プラスチックカードが不要な法人向けクレジットカードMastercardのVCN決済は、グローバル化に伴う取引先の増加・流通経路の複雑化を背景に、特に海外の旅行業界での普及が進んでいる。
より効率的な決済手段を求める旅行代理店(従来型・オンライン)やTMC(トラベル・マネジメント・カンパニー)とホテル間の決済を効率化する手段として導入が進んでおり、現在では世界200か国以上のホテルで利用されている。
ホテル側が直接バーチャルカード決済を受け取れるAgodaは、世界中390万軒以上のホテルやバケーションレンタルに加え、航空券や空港送迎などの多様な旅行商品を提供している。Booking Holdings(Nasdaq:BKNG)傘下の企業であり、アジアの本社を中心に世界31か所の拠点で運営されている。
今回のVCNによる法人決済により、Agodaは旅行者の予約・チェックアウト情報をもとにVCNを発行し、NETSTARSのストレートスループロセッシング*2を通じて、ホテルへ決済処理を提供。ホテルは手作業を介さずに直接バーチャルカード決済を受け取ることが可能になる。
これにより、ホテルは請求プロセスにおける人為的なミスの削減・業務の効率化を促進できるほか、未回収リスクを軽減し、生産性を向上できる。
旅行業界のエコシステム全体のデジタル化、キャッシュレス化を推進していくものとして、今後もVCN決済の導入・浸透に期待したい。
ストレートスループロセッシング*2…投資家の投資意思決定から証券会社への発注、証券会社から取引所への発注、証券・資金の決済・受渡しに至る一連の過程が全てネットワークを通じて行われること
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000037691.html
(文・Haruka Isobe)