インドのフィンテックスタートアップBharatPeはこのほど、設立からおよそ5年でEBITDAの黒字化を達成したことを発表。融資及び決済事業の大幅な成長を背景に、年間経常利益を前年同期比で31%増加させた。
初の黒字化&成長を続けるスタートアップ2023年11月28日に公表されたリリースで、インドのBharatPeは設立以来初の月次EBITDA黒字化と年間経常利益が150億ルピー(約265億円)を超えたことを公表した。
EBITDAは「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」の略で、基本的には営業利益に減価償却費を加えて算出される。営業利益単体で比較するよりもシンプルにキャッシュの流出入(=会社が利益を出しているか)を測ることができる指標だ。
BharatPeのCFO兼暫定CEOであるNalin Negi氏は「この偉業はチームの献身的な努力の賜物です」と喜びを滲ませながらも、「私たちの目標はBharatPeを国内最大級のマーチャント・ファースト・フィンテック企業として確立することです」と現状に満足しない姿勢を示した。
インド全体の金融包摂を推進するBharatPeBharatPeはインドのマーチャントの金融包摂を実現するという理念のもと、2018年に設立。インド初のUPI活用QRコード決済受付サービスを提供し、現在は3.7億件以上のUPI取引を処理している。
また、2019年からはマーチャント向けの無担保融資事業へ進出。現在の融資総額は1240億ルピー(約2200億円)を超えている。
国を挙げて決済インフラを整えるインド2023年にはインドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)から、オンライン決済アグリゲーターとしての運営に関する原則的合意を得たBharatPe。インドは決済インフラの整備に国を挙げて注力しており、先述した「UPI」というシステムも政府主導の取り組みのひとつ。
UPIは「Unified Payments Interface」の略で、直訳すると「統合決済インターフェース」。2016年にインド決済公社(NPCI)によって開発・開放されたこの送金システムにより、24時間いつでも銀行口座からの即時送金が可能となった。
UPIを活用した電子決済サービスはキャッシュレス決済を爆発的に普及させ、この波に乗ったインドのフィンテック企業に大きな利益をもたらしている。
「Bharat(インドにおける国名の自称)」という名前を掲げ、国内の中小企業や小売店に焦点を当てて成功したBharatPe。同じように確実に存在する需要を的確につかみ、フィンテックスタートアップとして一歩抜きんでる企業が日本でも現れないか要注目だ。
参考・引用元:
BharatPe 公式サイト
BharatPe プレスリリース
(文・竜胆総司)