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顔や商品を識別して読み上げるウェアラブルAI端末開発。視覚障がい支援に取り組むイスラエル企業OrCam Technologies

Techable 2024年1月18日 12時0分

インターネットが普及して早30年。インターネット上には、ニュース記事など文字による情報に依存しているコンテンツが溢れている。

しかし、視覚障がいに直面している人にとって、文字コンテンツをそのまま読むことは非常に困難だ。

そんななか、イスラエルを拠点とするOrCam Technologies(以下、OrCam)は、人工視覚の力を利用して、視覚障がいのある人々を支援している。今回は、同社が提供しているウェアラブル端末を紹介していく。

周囲の状況を音声で説明する「OrCam MyEye」

2010年に設立されたOrCamは「すべての個人が情報にアクセスし、世界と関わる機会を得る権利がある」という信念にもとづいて、AIを活用した視覚支援テクノロジーを開発しているテック企業。

同社が提供する「OrCam MyEye」は、周囲の状況を音声でフィードバックし、リアルタイムでユーザーをサポートする画期的なウェアラブル端末だ。

音声、テキスト、視覚データにもとづいてトレーニングされた独自の大規模言語モデルが組み込まれており、ユーザーの音声に反応して起動し、正確な説明を行う。

視覚障がいや視力低下に悩む人だけでなく、字を読むのに疲労を感じる人、困難を抱える人にも適している。

テキストの読み上げ・顔認証などが可能

それでは、OrCam MyEyeの主な機能を紹介しよう。同製品は、印刷されたテキストやデジタルテキストを音声で読み上げることが可能。ユーザーは書籍、新聞などにアクセスできる。

また、OrCam MyEyeは顔を認識するため、ユーザーは職場や出先で目の前に誰がいるのかを把握できる。さらに、商品やバーコード、紙幣や色を識別することも可能だ。

職場でのコミュニケーション、書類やデジタルテキストの読み取り、日常生活での読書や買い物…といった場面で活躍しそうだ。

携帯用AIリーダー「OrCam Read」

OrCamは、OrCam MyEye以外にも携帯用AIリーダー「OrCam Read」や学習サポートAIデバイス「Orcam Learn」も提供している。

OrCam Readは、加齢に伴う視力低下、軽度から中等度の低視力、または読書疲労に関連する読書困難を含む、視覚に障がいのある人々に向けた小型デバイス。

AIを活用して、デジタルテキストや印刷されたテキストをシームレスにスキャンして読み取ることが可能だ。ユーザーはお気に入りの朝刊や、本、Web記事、電子メールを簡単に読むことができる。

学習サポートAIデバイス「Orcam Learn」

一方Orcam Learnは、読み書きに困難のある学習障がい“ディスレクシア”やADHDなどの生徒に向けて開発されたデバイス。

ボタンをクリックすると、OrCam Learnがデジタルまたは印刷面からページ全体、段落、または1つの単語を読み上げる。ユーザーは教科書やワークシートを簡単に聞くことができる。

視覚支援デバイスも提供

ここまで紹介したのは主に“視覚”をサポートする製品だが、近年Orcamでは“聴覚”を支援する製品「OrCam Hear」を提供している。

OrCam Hearは耳が不自由な人向けのウェアラブル支援デバイス。AIテクノロジーと独自の音声強調ディープラーニングモデルを搭載しており、異なる話者の声を分離することが可能だ。

従来の補聴器の「カクテルパーティー問題」として知られる、騒がしい状況での音声理解の難しさを克服するという。

なお同製品は2020年に米国ラスベガスで開催された、世界の家電見本市「CES 2020」にて“2020 ベスト・オブ・イノベーション”を受賞。2024年1月開催の「CES 2024」でも出展された。

イスラエルだけでなく世界中から注目を集めるOrCam。今後も同社の製品の普及に期待したい。

参考・引用元:OrCam Technologies 公式サイト

(文・Techable編集部)

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