旅するように暮らし、場所を問わず働く-。そんな生活をスマートかつエコに実現できそうな電気RVを、米スタートアップとイタリアのデザイン会社が共同で考え出した。
ソーラーパネル搭載で自家発電し、製水装置で水も確保しながら寝起きできることから「マイホーム」としても活用でき、また米スターリンク社の衛星インターネットサービスを使うことで、遠隔地でも働ける「リモートオフィス」としても実用的だ。車輪の上で生活と仕事が完結する設計となっている。
広さを拡張可能、空間を確保
米カリフォルニアのスタートアップAC Futureが、イタリアのデザイン会社Pininfarinaとタッグを組んで考案したこのRVは「Electric Transformer House(eTH)」と呼ばれ、基本キャンピングカーのようなもの。移動のための車でありながら、車内を生活空間として使えるよう設計されている。
走行モード時の車のサイズは長さ約6メートル、幅約2.4メートル、高さ約3.3メートル。乗用車などと比べればかなり大きめではあるが、所詮車であるためスペースは限られている。だが、このRVは必要に応じて拡張して空間を確保できるのが売りの1つだ。
ボタン押すと居間が出現
側面と後部を拡張できるようになっており、キャンプサイトなどに停車させてボタンを押せば、あっという間にリビングや寝室が登場する。
キッチンやバスルーム、そしてテーブルやソファもあり、生活する上で必要な設備をほぼ完備しているのが驚きだ。
側面、後部それぞれ約2.4メートル広がる。総面積は最大約37平方メートルになり、最大4人を収容できる。
グリーンエネルギーで生活また、拡張式のソーラーパネル(25kWh)を搭載しており、自家発電できるのもポイントだ。車体のルーフがパネルで覆われており、車のバッテリー、そして調理機器や家電製品など暮らしに必要な電気をすべてグリーンエネルギーでまかなうことが可能。オフグリッドでも生活できるようになっている。
加えて、空気から水を生成する装置も搭載しており、毎日最大50リットルのきれいな水を確保できるのも心強い。
現代生活では欠かせないインターネットはスターリンク社の回線サービスを活用することで利用でき、ノマドワークも可能だ。
用途が広そうなこの電気RVは、米ラスベガスでこのほど開催されたテック関連の展示会CESで発表された。現時点ではコンセプトとして発表されており、生産開始時期や価格などは示されていない。
従来のキャンピングカーとは一線を画すであろうこの高スペックRVが気になる人は、AC Futureの公式ウェブサイトやpininfarinaの公式YouTubeチャンネルで完成予想をチェックできる。
(文・Mizoguchi)