近年、世界中でデジタルインフラの重要性は大きく高まり、IT人材の需要が高まっている。ヒューマンリソシアの2023年の調査によると、世界109カ国のITエンジニア数は推計2680.5万人で、昨年と比較して全体で306.8万人増加したという。
しかし、中東・アフリカ地域のITエンジニアの割合は低く、IT人材育成の必要性が問われている。
そんななか、エジプト発のEdTech企業であるiSchoolは、子ども向けのオンライン教育サービスを提供。AI、VR、アプリ・ゲーム・Web開発などのプログラムを、子どもの時期から身につけることに重きを置いている。
次世代のテクノロジーリーダー輩出を目指すiSchool2018年に設立されたiSchoolは、6歳から18歳の学生を対象に、AIやVR、アプリ開発、Web開発といったITスキルの教育を提供している企業。
同社のカリキュラムは、STEMやIAIDLから国際的に認定されており、アルゴリズム的思考やロジックや構造などの基礎を強化する重要なコーディング言語をカバーしている。学生は専門家と同じプラットフォームを使用してコーディングを学習することが可能だ。
クラスでは、簡単なゲームの作成や漫画のキャラクターの使用を通じてコーディングの方法を教えているため、子どもが楽しみながら学べるだろう。
なお授業は教師と学生の1対1で行い、コースによっては保護者へのサポートも実施している。コースや年齢によって学ぶカリキュラムは異なり、上位のコースではチャットボットや音声アシスタントも利用可能だ。
2023年12月時点のユーザー数は26,000人以上で、100万時間以上のトレーニング、1,000万行のコード作成といった実績を持つ。35の学校と協力して技術トレーニングやCSラボを提供し、そのすべてがエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などにおける国家レベルの取り組みの管理につながっている。
450万ドルを調達。MENA地域へサービス拡大2023年12月、iSchoolはVentureWave Capitalが主導する資金調達ラウンドで、450万ドルを確保した。同VCのほか、OneStop Capital UK、Webit Investment Network、ドバイ統合経済区庁のベンチャーキャピタル部門であるOraseya Capitalも参加した。
今回の資金調達により、iSchoolはMENA地域のさらに6か国へサービスを拡大する予定だ。今後は「オンライン コーディング プラットフォーム」の技術的拡張を促進し、ゲーム化されたオンライン教室アプリサービスをサハラ以南のアフリカ全域に拡大することに焦点を当てるという。
投資家からの期待も大きく、VentureWave CapitalのKieran McLoughlin氏は「この投資は、革新的な起業家を支援することで社会の進歩を推進するという私たちの使命と完全に一致している。私たちは、独自の教育モデルを新しい市場に拡張し、次世代のテクノロジーリーダーに力を与えるiSchoolの野心的な計画に貢献できて大変うれしく思っている」と述べた。
なお、iSchoolは資金調達を経て、本社をアイルランドへ移転し、新たな雇用を創出する方針だ。iSchoolの新たなスタートとともに、今後の展開に注目していきたい。
参考・引用元:iSchool 公式サイト
(文・山田)