世界各国が2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指すなかで、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量削減は大きな課題だ。とくに二輪車が人々の生活の足として欠かせない新興国においては、二輪車の排気ガスが深刻な問題となっており、排気ガスを出さないクリーンな“Eモビリティ”が注目されている。
このうち世界最大の二輪車市場とされるインドでは、政府が2030年までに二輪車の80%をEV化するという目標を設定。こうした政府主導のもとで、四輪車に先行して二輪車のEV化が加速しており、二輪EVの現地生産ニーズも上昇中だ。
そんななか、武蔵精密工業はインド・ベンガルールを拠点に、二輪・三輪EV向けの高性能なe-Axle(EV駆動ユニット)の研究開発を開始した。
世界14か国へ展開する自動車部品メーカー愛知に本社を構える武蔵精密工業は、世界14か国・35拠点で事業を展開する自動車部品メーカー。四輪・二輪車用向けに、電動化や自動運転を見据えた次世代パワートレインならびにステアリング、シャーシ部品の開発・製造・販売を行っている。
また、先端AI技術開発によるインダストリー4.0の推進、カーボンニュートラルへの貢献を目指したエネルギーソリューション事業、さらにSDGsの幅広い領域での達成貢献に向けたオープンイノベーション展開など新事業の創出・拡大にも注力している。
EV駆動ユニットを二輪EVへ適用、合弁会社を設立これまで武蔵精密工業はインドでのEモビリティの普及促進に向け、さまざまな取り組みを実施してきた。
2022年より、同社はインドのEVスタートアップ企業であるBNCと戦略的な協業を推進。その後、インド市場の最大マーケットセグメントとされる125ccのガソリン車と同等以上の加速性能や最高速度、また電費向上に寄与する伝達効率や静粛性を有する武蔵精密工業のEV駆動ユニットが二輪EV“Perfetto”へ初適用することとなった。
2023年にはDelta Electronics, Inc.や豊田通商らと、EV駆動ユニット(武蔵精密工業とDelta Electronics, Inc.の共同開発)の製造・販売を目的とした合弁会社「Musashi Delta e-Axle India Private Limited」の設立に合意。
インドを拠点とする合弁会社にて、EVに求められる小型・軽量・静粛性を兼ね備えた高性能の駆動ユニットを一体のシステムとして開発・製造・販売することで、品質保証を含めた高い付加価値を提供すると発表した。
インドを拠点に高性能e-Axleの研究開発を開始そして今回、武蔵精密工業は二輪・三輪EV向けに、さらなる小型・軽量・静粛性を実現した高性能なe-Axleの開発およびラインナップ拡充を目指し、「MIDC(Musashi India Development Center)プロジェクト」としてインド・ベンガルールを拠点に研究開発を開始。
この研究開発は、住友商事とテックマヒンドラリミテッドの合弁会社であるSCTMエンジニアリングと協力し、e-Axleの機構・性能開発に精通した武蔵精密工業が、高度な開発スキルを有するインドのエンジニアリングサポートを得て推進するものだ。
インドを中心にタイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア諸国、アフリカなどの成長市場で開発したe-Axleを量産・販売することを目指すという。
武蔵精密工業は、e-Axleの供給を通じ、インド市場をはじめ全世界での二輪・三輪のEV普及をリードするとともに、カーボンニュートラルの実現に貢献する方針だ。
参考元:
PR TIMES①
PR TIMES②
PR TIMES③
(文・Haruka Isobe)