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仏AI創薬スタートアップIktos社、日本子会社を設立。アステラス製薬で創薬研究に従事した藤秀義氏が代表に就任

Techable 2024年2月20日 20時0分

AIがさまざまな分野で活用されている近年。医療業界ではAIソリューションを活用して、創薬(薬をつくるために試験を実施し、有効性・安全性を評価すること)やそのほか研究に取り組む医療機関が増えている。

フランスのスタートアップIktos社は創薬化学、新薬設計に適用されるAIソリューションを開発。これまで欧州、米国、アジアにおいて、60以上の新薬設計のプロジェクトを製薬企業やバイオテック企業と進めてきた。

今回、Iktos社は子会社となる“イクトス株式会社”を日本で新たに設立したことを発表。本社を千葉県千葉市中央区に置き、代表取締役・藤秀義氏を含む2人体制でスタートする姿勢だ。今後はさらなるチームの拡大を計画している。

新薬設計AIシステムを開発するIktos社

2016年に設立されたIktos社は、創薬に特化した生成AI分野のリーディングカンパニー。新薬設計のための生成AIシステム「Makya」、逆合成解析AIシステム「Spaya」などのSaaSプラットフォームを多くの企業に提供している。

Makyaは、疾患治療に有効な標的に対する生理活性を持つ「仮想新規分子」を自動的に設計するというもの。分子探索プロセスにおいて創薬化学者に新しい洞察と方向性をもたらし、効率的な医薬品候補物質の創出を支援する。

Makyaは3Dモデリング機能を備えており、参照分子と同じ3D形状とファーマコフォア、そのほか望ましい特性を持つ新しい分子を生成できる。また分子を3Dで視覚化して重ね合わせて、さまざまなAI 設計を参照分子と比較することが可能だ。

一方、Spayaは独自の逆合成用AI技術にもとづき、特定の化合物について考えられる“逆の”合成経路を徹底的に分析し、さまざまな指標に従ってランク付けする合成計画ソフトウェア。

商業利用可能な出発物質が特定されるまで、すべての可能なルートを繰り返し探索し、創薬化学者が化合物への最適な合成ルートを見つけられるようサポートする。

創薬研究経験を持つ藤秀義氏が代表取締役に就任

Iktos社にとって日本は重要な市場であり、これまでに帝人ファーマ、小野薬品工業、キッセイ薬品工業、キュライオなどの日本国内の製薬企業や創薬スタートアップ企業との戦略的パートナーシップを数多く結んできた。

今回のイクトス株式会社の設立は、日本現地に拠点を置いて日本の顧客やパートナーを支援し、日本でAI創薬の主要なプレーヤーになるという、Iktos社の戦略にとって非常に重要な一歩となる。

その重要なフェーズのカギを握るのが、イクトス株式会社の代表取締役に就任した藤秀義氏だ。

藤秀義氏は、千葉大学薬学部で薬剤師免許取得、博士号(薬学)取得後、アステラス製薬でケモインフォマティクス・計算化学の専門家として、創薬研究に従事した人物。2022年に起業し、海外企業の日本におけるビジネス開発とマーケティングを支援した。

今回の就任にともない、藤秀義氏は「Iktos社の技術は、日本国内においてすでにベンチマークとなっており、日本市場は特に有望視されています。Iktos社のAI技術は、メディシナルケミストリーの機能を強化し、日本の製薬企業の競争力の一つである低分子創薬を加速させることができると信じています」とコメント。

なおIktos社の共同創設者兼最高経営責任者であるYann Gaston-Mathé氏は、藤秀義氏の創薬課題への理解力、経験、戦略的パートナーシップの構築能力がイクトス株式会社の成長をさらに加速させると期待している。今後、イクトスが日本でどのような革新をもたらすのか、注目していきたい。

参考元:
PR TIMES
Iktos 公式サイト

(文・Haruka Isobe)

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